2010年12月31日金曜日

船橋がんサロン「ここにおいでよ」、来年もよろしくお願いします

今年の3月「船橋にがんサロンを・・・」と、NPOピュアの藤田さんと、世話人の本村さんと三人で立ち上げた「ここにおいでよ」。
毎月一回必ず開催を合い言葉に、5月~12月まで8回開催することができました。
来年も、毎月一回必ず開催を目標に、続けていきたいと思っています。

がんの悩みを一人で抱えないでとの願いを込めた「ここにおいでよ」
苦しいこと、辛いこと、不安なことをここに来て話して、その重荷を降ろしていってほしい、同じ病の人同士話したり、聞いたりすることが、癒しになるはず・・・そんな思いで世話人を続けているうちに、一番癒されているのは私ではないかと、ふと感じることがあります。

来年も、一人でも多くの方と、苦しみ・悲しみ・不安を分かち合い、一人でも多くの方の笑顔に出会いたいと思っています。

船橋がんサロン「ここにおいでよ」は、来年も、毎月一回必ず開催で続けていきます。
どうぞ、いつでもお立ち寄り下さい。
https://sites.google.com/site/kokofuna/

2010年12月25日土曜日

乳がん手術の意味を見直す・・・日経メディカルオンラインより

2010.12.20の日経メディカルオンラインの記事に「乳がん手術の意味を見直す時がきた」という、順天堂医院乳腺センターの霞富医師へのインタビュー記事がありました。
そこには、センチネルリンパ節生検が世界的には見直されつつあることや、乳がんの根治手術を行いn0と診断された患者の骨髄を調べると20~45%の患者にがんの転移が見つかった、これは乳がんが全身病であるという問題にかかわる重大な発見と書いてありました。
そして、今後は手術が中心だった乳がん治療は、化学療法を積極的に取り入れた「総合的なものになる」だろうと書いていました。

この記事を読んでちょっとショックだったのは、日本ではようやく今年(2010)の4月にセンチネルリンパ節生検が保険適用になったばかりなのに、世界、というか、最先端では見直されつつあるとは・・・
そして患者としては「乳がんは全身病」という言葉が、心にぐさりと響きました。

日々、新たな研究がなされ進化していくがん医療に期待するとともに、世界の流れに「置いてけぼり」にされない日本の医療であることを願ってやみません。

2010年12月23日木曜日

第6回がん患者大集合の3つのアピール

がん患者団体支援機構が主催する「がん患者大集会」が、ネット配信されています。
第一部は「心のケア」
ピアカウンセリングの必要性や有効性についてのお話が印象的でした。
特に、入院中は同室の人たちと一緒に泣いたり笑ったり、励まし合ったり
それが、どれほど心の支えになったのかという体験談に
自分の入院の頃を思い出していました。

入院時「個室」に「固執」。
でも退院が近付く頃には、ちょっと退屈。
誰かとお話したいなと思っていました。
もし、患者ロビーや患者同士のティータイムなんてのがあったら
同じ病の人とおしゃべりしたり、情報交換ができたかも……

第二部は、がんとお金について
就労関係のお話では、企業の中でがんに対する啓蒙活動が必要
との指摘もありました。
また制度の問題として、高額療養費や傷病手当の見直しが必要との意見。
これらの制度は
「公平な負担と支給」や
「進歩した医療(多くの病は、長く付き合う病気となった)」を視点に
早急に見直してほしいものです。

また、がん検診率をあげ早期発見・早期治療につなげることは
国の財政面でも、個人にとっても、最も負担が少ない方法である
という意見には、大いに納得。
「検診率50%達成」も掛け声ばかりで実現しそうにない
お粗末な現状をなんとか打破したいものですね。

検診といえば
市の受診券が使えるのが
市内の協力医療機関のみであることに納得がいかないのは、私だけでしょうか。
もし市内ではなくても、職場の近くなどの医療機関でも受診可能なら
また、夜や日曜に検診を受けることができるのなら
少しは検診率があがるような気がしますが、いかがでしょうか。

さて、第6回がん患者大集合では、以下の3つのアピールが採択されました。

①ピアサポートセンターの設立と全国展開
 ピアサポートによる24時間のコールセンター

②がん患者の社会的なきめこまかい支援の拡充
 各都道府県のがん対策推進計画に基づき、がんになった時の手引き書として
 各県ごとの地域の診療情報の作成を要望する。
 患者の生活を守るため、高額療養制度や傷病手当の見直しを要求する。

③がん患者の働く環境の整備
 自立支援のため企業・経営に対する助成制度の設定
 企業に、がん患者の働く権利を守る就労規則作成の義務化を要望する。

これらのアピールを見て
思い浮かんだのが「患者アドボカシー」という言葉です。

患者が抱えている問題を解決するためには
患者自身が声をあげることが必要。
そして、このアピールができた。
でも、これだけじゃ何も解決しないのではないだろうか。
このアピールを受けて
患者一人ひとりが何をするかが
まずは、問われるのではないか
と思ったのです。

そして、私に何ができるのか
私なりの「患者アドボカシー」を考えてみました。

まずは、日々前向きに生活すること。
がん患者だって、明るく前向きに、そして、元気に
日常生活を送ることができる。
こんなことすら、まだまだ、知られていないのが現状。
……つい先日も
「早期の乳がんだ」という事を伝えている知人から
「あら、元気そうでよかった」と声を掛けられ
ちょっと複雑な気分になりました。
そりゃあ、時には落ち込んだり
とてつもなく体がだるくなったりすることもあるけれど
健康な時と、変わらぬ生活を送ることも可能なのが
現在のがんとのお付き合い。
そんな事を、まずは皆さまに知ってもらいたいですね。

そして、昨年から始めたがんサロン。
来年も「毎月一回、必ず開催」を合い言葉に
続けていきたいと思っています。

また来年は、自分の住む地域のがん対策にも
関心の目を向けたいとも思っています。

あまりにちっぽけなことばかりで
「患者アドボカシー」なんて大声では言えないけれど
一つひとつ、丁寧に向き合っていきたいと思っています。

2010年12月12日日曜日

第6回がん患者大集会―12月19日開催です。

がん患者団体支援機構主催、第6回患者大集会が12月19日(日)東京医科歯科大学 M&Dタワー大講堂にて、13時より開催されます。
大会の模様は、インターネットで無料配信されます。また、twitterでの参加もできるようです。
今回のテーマは「がんでも自分らしくいきる」(「心のサポート」・「がんとお金」)。

詳しくは、がん患者大集会ウェブサイトをご覧下さい。

twitterは、 #canpslive につぶやいてね……とのことです。

2010年12月9日木曜日

「がん患者意識調査2010」12月20日締め切りです

日本医療政策機構・市民医療協議会・がん対策情報センターが「がん患者意識調査2010」を行っています。
この調査は、患者の抱える課題を社会で共有することで、課題解決へ向けた社会的機運が高まり、よりよい医療の現実の原動力となることを目指して実施されている調査です。対象は、
がん患者や経験者、家族・遺族が対象の調査です。
ホームページを通して、ネットで回答できます。

そして、この調査の最後に、『日本の医療政策を良くするために必要と思われることを1000字以内』でという自由記述の質問があります。
私も、日頃患者として思っていることを書いてみました。
「蟻の一穴」であることを信じて、みなさんの思いを書いてみませんか。

さて、同ホームページの活動報告の〈UICC(国際対がん連合)「世界がん会議」参加レポート〉には、次のような事が書いてありました。

記事より抜粋、ここから―――
「米国ではロビイストの力が強いので、市民の発案であれば、議員がそれをとりあげ、必要な事項であれば州法制定されることは珍しくない。このため議員のがん経験の有無は重要ではない」

「英国では患者が横断的な連携をとっていますが、もう一歩踏み込むことが大事だと思っています。つまりいくつかの患者団体がそれぞれ別々のことを訴えても、行政は動いてくれない。皆の声をひとつにまとめて初めて、患者の声は届きます」
記事より抜粋、終わり――

いかがでしょうか。

さて日本の現状はと、見渡せば……。
かくいう私も、患者アドボケートという言葉は、患者となって初めて知った言葉。
最初は、一体なんなんだろうという気持ちの方が大きかった、というのが本当のところでした。
まだまだ、真に理解したというところには至っていませんが、少しずつ学んでいきたいと思っています。

2010年12月4日土曜日

乳がん体験者ゴスペルを歌う―BCSC(ブレスト キャンサー サバイバー コーラス)

ある一人の乳がん体験者が
乳がん体験者でゴスペルを歌いたい!
歌うことで、同じ病の方を勇気づけられるかもしれない
一人じゃない、ここに仲間がいることを伝えたい
との思いで始まった
BCSC(ブレスト キャンサー サバイバー コーラス)
その思いを
亀渕友香&VOJAの方々が
受けとめて下さり

彼女の思いと同じくする
乳がん体験者が44名集まり

乳がん体験者ではないけれど
受付などの雑用を快く引き受けて下さった方に
支えられ
昨日、遂に本番の日を迎えました。

実は、自宅で歌の練習をしていると
我が家のワンコが挙動不審になっていました。
何故だろう……
とず~っと不思議でしたが
10月から始まった練習の日々を振り返り
これが原因かな、と思うことがありました。

それは、練習中の私の顔。
きっと、上手く歌おうと、楽譜をにらみつけて
歌っていたのでしょう。
だから、声も顔もきっと、恐かったんでしょうね。

亀淵友香さんによるレッスンの時
「あなたたちは、何のために歌うの」と問いかけられました。
その事をず~っと考えていました。

そして、昨日の本番。
亀淵さんに見守られ
指揮して下さる大塚桂さんやVOJAの方々に支えられ
BCSCのみんなと
"あなたはひとりではない"という思いを
歌に込める事ができたような気がします。

そして、緊張しながらも
少しだけ、笑顔になることができたかなとも
思っています。

みんな・みんな、ありがとう!

一人の夢がみんなの夢となり実現した昨日
私たちの新たな夢が始まりました。

2010年12月2日木曜日

聖夜に命を考える―キャンサー サバイバーズ イブニングセミナー

NPO法人キャンサーネットジャパンが、クリスマスにお届けするイブニングセミナーのご案内です。
********
12月25日(土)フォーシーズンズホテル椿山荘 にて
第一部 16:00~17:45
*司会は日テレ報道局の町亞星さん。
*医師による講演、”心と身体の栄養のおはなし”
 東口髙志先生:
(藤田保健衛生大学医学部外科・緩和医療学講座教授)
*乳がん体験者のモデル、MAIKOさん、
 埼玉医科大国際医療センター 腫瘍内科医の佐治重衡先生を
 ゲストにトークショー、
第二部 18:00~20:00
*ギターデュオ「いちむじん」(NHK龍馬の紀行の音楽)の演奏
*立食ディナー
*******
をお楽しみいただきます。

フォーシーズンズホテルの立食ディナーと音楽と、
楽しいサバイバーズトークの参加費用は、

一般の方   10,000円
がん体験者  7,000円 です。

詳細・お申し込みはコチラ↓からお願いたします。
http://www.cancernet.jp/eve101225.html

2010年11月28日日曜日

第4回アジア乳がん患者大会―第2部 シンポジウム

第2部のシンポジウムは
医療政策へ患者参画がテーマでした。

最初に
国の予算配分に患者の要望がどのくらい反映されているのだろうか
という質問がされると

台湾では、患者のかわりに患者会が医療費への提言を行っている、とのことでした。
では、日本はどうだろうかというと

患者の7%が、経済的負担から
治療の中止や変更をしていることが
アンケートによりわかった。
このような現状を見ると
医療についての財源や、負担と配分を考える時が来ているのではないか。
そして、日本でも患者による患者目線の提言があってもいいのではないか。
という話がありました。

治療費の負担に関しては
韓国では、乳がんは「深刻な病気」と分類されていて
5年間は10%の自己負担で治療が受けられるとか。

うらやましいですね。

小嶋さんからは
「がんの撲滅」を掲げたイベント
アメリカのStand Up to Cancerのようなイベントができないだろうかと考えている
とのお話がありました。
この一大チャリティイベントで集まった寄付金を、がん研究へ役立てたい。

この話は、キャンサーネットジャパンの
「もっと知ってほしい乳がんのこと2010」でも
少し、お話がありました。
その時も思ったのですが
本来なら、リレー・フォー・ライフで集まった寄付金が
がん研究に捧げられてもいいはずなのに
(私は、そうすべきと思っています)
そうはなっていないのが、日本の現状のようですね。

もう一つ、耳寄りなお話です。
それは、順天堂医院乳腺科医師の斎藤さんのお話です。

斎藤さんたちは、今
台湾の患者会から紹介されたような
患者目線のガイドブックを
作成しているというのです。

斎藤さんは
ピアサポートについて
体験者から話を聞くことで
患者さんに、治療への納得感が高まるのではないか
と思っていらっしゃるとか。

どのようなガイドブックが出来上がるのでしょうか。
楽しみですね。

がんと共に生きる会の海辺さんは
患者会のネットワークが広がらないことの理由の一つに
個人の熱いボランティア意識のみに支えられている現状があるのではないか
患者会が、社会中の一つの枠と認められるようになることが
安定的な活動のためにも、必要だとの発言がありました。

患者アドボカシーということをテーマに
話し合われたシンポジウムの最後に
埴岡さんが
活動が目的ではなく、誰に安心を届けるかを考えて活動してほしい
と発言されましたのも
私の心にズシンと響きました。

この時、脳裏に浮かんだのが
12月3日の乳がん体験者によるゴスペル隊の練習の一こまです。
先日、レッスン中に
亀渕友香さん

「あなたたちは、何故、この場に立って歌うのか
それを考えてほしい。
 誰のために、歌うのか
 歌うことで、何を訴えたいのか」

この日、亀渕さんは
乳がん体験者へのレッスンという事で
アメリカ生活でのピンクリボン運動を思い出され
ピンクリボンのイヤリングをしていらっしゃいました。
当時のアメリカは「乳がん撲滅」を掲げたピンクリボン運動をしていたとか
もう、十数年以上前の話だそうです。

この日のシンポジウムで海辺さんも
乳がん患者から
「ママ友に乳がんのことを知られたくない」
という声をよく聞く。
まずは、このような現状を脱却することが
ピンクリボン運動のひとつの目的なのかもしれない」
というような事をおっしゃっていました。

こうして、アメリカやアジアの国を見渡してみると
どの国よりも、一歩も二歩も出遅れている
日本のがん医療の現状が見えてきました。

2010年11月27日土曜日

第4回アジア乳がん患者大会―第1部「各国の患者会活動報告」

第4回アジア乳がん患者大会が
クリスマス仕様のホテル日航東京にて開催されました。


主催の乳がん患者会・ブーゲンビリア代表内田絵子さんは
16年前にシンガポールで乳がんと診断され、治療を受けました。
その時、元イギリス領のシンガポールの医療が
人間の尊厳を大事にする医療である事を痛感されたそうです。

基調講演で内田さんは
患者が声をあげ、がん対策基本法が制定されたとはいうものの
がん医療に関する相談支援や情報提供の現状はどうだろうか

23年度概算予算で、がん予算が826億円
うち、がん医療に関する相談支援・情報提供への予算は、1億円
このような予算配分では、患者の声が
医療政策に反映されているとは、とても言えないのではないか

と、医療政策に患者の声が十分に反映されていない
日本の現状をお話されました。

次に、アジア各国からの報告がありました。

韓国のキム・スーさんは
韓国での問題点として
患者団体の多くが都市部にあり、地域格差があること
をあげられました。
そして、韓国では
50歳未満のサバイバーから
リーダーを育てる活動をしていることや
政策への働きかけは
日本同様、今後の課題であるとおっしゃいました。
報告の最後には
「アジア全体で一つの力に!」と
呼びかけられました。

シンガポールのがん専門看護婦のジョセフィン・アンソニーさんは
乳がん専門のクリニックがオープンし
ワンストップサービスが実現していることを紹介して下さいました。

この発表の後
司会のTBS解説委員 小嶋修一さん(精巣腫瘍患者会「J-TAG」立ち上げ)から
・ シンガポールはワンストップサービスなど、すばらしい医療水準。
・ 日本の医療は、アジアトップではない。
とのコメントがありました。

台湾のグロリア・ウェイチェン リイさんは
「台湾の乳がん患者は、一つの大きな家族」という考え方をしている。
それは、再発リスクをかかえる乳がん患者は
お互い協力しあって一つになることが大切だからだと
おっしゃいます。

台湾にはReach to Recovery Iinternational(RRI)
という乳がん患者会のネットワークがあることも紹介されました。
このネットワークでは、愛と共有を合い言葉に
アドボカシー活動や、ピアサポート活動をされているとか。

ここで、注目したいのが
患者へ病気の情報を届けるために
患者視点のガイドブックを作成しているという事です。
患者視点のガイドブックといっても
正しい情報であることが、何よりも大切。
ですから、このガイドブックは
医療者により、監修されています。
そして、病院内で、このガイドブックをもとに
ピアサポートが行われているとか。

すばらしいですね。

この時、紹介されたいくつかの写真の中で
特に印象的だったものがあります。
それは、あるワークショップの写真。
そのワークショップは
御夫婦で参加するもののようで
ご主人が一輪の花を奥様へ捧げている様子が
撮られていました。

乳がんは、女性特有の臓器の病
夫といえども、理解しがたい部分があり
患者を支えることは、大変なのかもしれません。
そう言えば
乳がん患者の夫はうつのリスクが高い(がんナビ、2010.10.12)
というニュースがありましたよね。

さて、
2011年11月9~12日タイペイで
Reach to Recovery International主催の
第16回 国際乳がんサポート大会が開催されます。



この会議は
アジアおよび太平洋地域、ヨーロッパ、アフリカ、南北アメリカ諸国から
乳がん患者と支援団体と医療従事者が集まる
国際フォーラムです。
アジアで会議が開かれるのは32年ぶりだとか。
RRIという全国的な組織があるからこそ
開催することができるのでしょうね。

多くの患者団体がありながら
このようなネットワークができない日本を顧みて
羨ましいやら、ちょっぴり、くやしいやら……

司会のTBS小嶋さんも
「日本に乳がん患者会は多くあるけれど、連合できていない」と
コメント。

続いて報告に立たれた
Hope Project 桜井なおみさんも
開口一番
「日本には、乳がん患者会の連合体がない」ことに言及。

ピンクリボン運動も、開始から10年経つが
何が変わったのだろうか。
死亡者数が減らないのは、どうしてなのだろうか。
今、新たなピンクリボン運動を考える時ではないかと
問題提起。
今までは
一般の人への啓発活動が主だったけれども
今後は
患者やその家族のため
また、乳がんで亡くなった方やそのご家族のため
という視点でのピンクリボン運動も
必要なのではないか
と力説されました。

桜井さんの発表の中
一番印象的だったのは

東京タワーをピンクに染めるだけが、ピンクリボン運動ではない!

という言葉です。

これには、同感の一言!

最後は、日本医療政策機構の埴岡さん。
みんなで力を合わせ、国を乗りこえ
いかにして、政策提言をしていくのかを考える時がきている
とのお話の後
日本医療政策機構によるアンケートから

患者や国民が、医療政策を不満に思っているのは
国民から制度がどのように作られているのかがみえないからだ。
医療制度は、誰が決めるのか
と日本の医療政策の現状をお話下さいました。

2010年11月20日土曜日

日経新聞、2010.11.19日配信
がん対策協議、迷走のニュース


患者委員から
がん対策基本法に患者の声を反映させる
という謳い文句に反し
患者の声が十分に反映されていない
と指摘し
会長解任の緊急動議を提出したというニュースです。

なんでも
5ヶ月間も協議会が開催されず
その間に厚労省が
概算要求でがん対策予算を提出。
その概算要求には、協議会からの意見が
十分に反映されていなかったと
患者委員が指摘。
それに対し、厚労省側は
「法律上は協議会には
(5年に1度検討する)がん対策推進基本計画の
意見を聞く以外に業務はない」
と権限を限定的に説明
と記事には書いてあります。

厚労省のこの説明には
患者の一人として
残念でなりません。

患者と国が一緒になって
がんを撲滅しよう
というのが
がん対策基本法の思想と思っていたのに
これでは、国の認識は
患者の意見はお飾り程度
という事なのかと思ってしまいます。

MDアンダーソン病院の上野直人医師は
患者は、医療者や社会へ向けて
意見を発信すべき
と、よくおっしゃいます。
患者の意見が
医療を変え
医療を発展させ
社会を変えていくのだと。
→2010年第48回癌治療学会・市民公開講座で
上野先生がお話されています。
NPO法人キャンサーネットジャパンの
ビデオライブラリ
でご覧頂けます。

でも、日本では
現状、患者の声は
負け犬の遠吠え状態なのか
と、思ってしまいました。

……でも、ここで諦めてはいけないのです!
患者、一人ひとりが
地道に、少しずつ
思いを隣人へ、そして、社会へ伝えていくことは
次代への、大きなキャンサー・ギフトとなるはず……と思うのです。

2010年11月16日火曜日

もっと知ってほしい乳がんのこと―NPO法人キャンサーネットジャパン

11月14日、東京ウィメンズプラザで「もっと知ってほしい乳がんのこと」が開催されました。

その中から、ちょっとご紹介です。

ハーセプチンという分子標的薬は
HER2陽性の乳がんにとても効果があります。
この薬が開発されるまでは
HER2陽性の乳がん患者の生存期間は思わしくありませんでした。で
も、この薬が出来てからは
なんと他のタイプの乳がん患者よりも生命予後が良い
というデータもあるそうです。
でも、HER2陽性患者さんのすべてに
このような効果があるわけではないことも事実です。
そこで、T-DM1という新たな抗がん剤に期待が集まっているようです。

このように次から次へ新たな薬が開発されていますが
例えば、稀少なタイプ、例えば全患者の3%しかいないタイプのための
新薬を開発するのだろうかという不安があるようです。

次は、温存術についてのお話。
温存術も数よりも質の時代に入ったようです。
質とは、すなわち整容性の問題です。

整容性を考えて
温存よりも再建を選ぶ患者さんもいらっしゃるようですが
聖路加国際病院乳腺外科の山内英子先生の次の言葉が
とても印象に残りました。

「術後、フラットになった胸を患者が目にした時の精神的負担が大きい」

温存術も発達し、美しい温存も可能になってきているとか。
そして、山内先生は、次のようにおっしゃいました。

温存・切除・再建
様々な選択肢があるが、自分の選択をすることが大切
何が一番よいのかは、その人でないと決められない。
多くの選択肢からどれを選択するかを、患者と医師が一緒に悩み、決めていくことが大切。
そして、自分の決めた治療法に、自信を持ち、誇りを持ってほしい。

わぉ!
医療者は、病の事しかわからない。
患者が、自分の事を語ることから、NBMが始まる。
診察室で、悩みながらも
自分の今までの人生、これからの人生を医療者に語り
共に悩むことで、その後の物語を作っていく。

これぞNBM(Narrative-BasedMedicine)!
素敵なお話ですね。

でもねぇ
日本全国、どこの診察室でも
このような物語が始まるわけではない現実もありますよね。

そして、術前ホルモン療法のお話。
ホルモンレセプター陽性の人で
ホルモン療法が効かない人がいるらしいのです。
それを調べるために、手術前に3~6ヶ月
ホルモン療法を行うというものです。
この術前ホルモン療法については
現ガイドラインでは強く勧められているわけではなく
現在は、臨床試験段階です。
しかし、5年も飲む薬の効果のあるなしは
無視できない問題であるとも言える
というお話でした。

ところで、乳がん患者は他のがん種に比べ
不安が高い傾向にあるとか……。
そして、その不安への早期介入(緩和治療やカウンセリング)は
生命予後にも影響するのだそうです。

なるほど、このあたりに
乳がんの患者会などが多い理由がありそうですね。
そして、乳がん患者会が姦しいのも
不安があるからこそ
その不安を吐き出すためにいっぱい喋り
吐き出した不安の分だけ
元気になるのかもしれませんね。

「もっと知ってほしい乳がんのこと2010」は
まもなく、キャンサーネットジャパンのホームページ
上で
公開されます。
お楽しみに!

2010年11月11日木曜日

キャンサーネットジャパン・ビデオライブラリより「もっと知ってほしい大切にしたい「会社・病院etc...」のこと

キャンサーネットジャパン
ビデオライブラリ
もっと知ってほしい大切にしたい「会社・病院etc...」のこと


7月24日に開催された
もっと知ってほしい大切にしたい「会社・病院etc」のことでは
がん患者が、その経験をいかに社会に還元するか
還元できるような社会とは
という観点から、がんを考えています。

今はまだ、がん患者だからということで
会社を辞めたり
また、会社には患者であることを隠していたり
という事がよくあるようです。

でも、がん経験者を雇うことで
新たな雇用形態が生まれたり
その新たな雇用形態は
がん患者のみならず
他の病気の患者や高齢者にとっても
働きやすい環境かもしれない。
そこに、少子高齢化で
今までのような右肩上がりの発展も望めない日本社会にとっては
新たな展望が生まれるかもしれません。

そのためにも、がんと告知されても
あきらめずに、まずは自分の病を正しく知り
治療を受けながらも、社会参加を続けていく
という意識が、患者には必要なのかもしれません。

仕事に限らず
がん患者となっても
自分なりに社会と関わり続けることは
療養生活上でも、きっとプラスになると思います。

では、以下にこのビデオ関連の情報をお知らせします。

12月5日には「ラン・フォー・ホープin東京 2010」が開催されます。
このイベントは、がん撲滅をスローガンとしたチャリティジョギング/ウォーキング大会です。
フォーシーズンズホテル椿山荘 東京が
1992年のホテルオープン以来続けている取り組みだそうです。
詳しくは、こちらをご覧下さい。

そして、この椿山荘で、12月25日に
キャンサーネットジャパンによる
キャンサーサバイバーズイブニング
「心と身体の栄養のお話」とX'mas Party
が開催されます。
一般一万円の参加費が
がん患者・体験者は、7千円だとか。
詳しくは、こちらをご覧下さい。
セミナー参加者は
ホテルの宿泊料金が3割引になるサービスもあるようです。

それから、もう一つ。
キャンサー・ソリューションズ㈱による
がん経験者のための就労支援プロジェクトというものがあります。
これは、株式会社日本医療事務センターに
がん患者として登録し
がん患者を積極的に受け入れてくれる企業への
就職支援を行おうというものです。
まだまだ始まったばかりの試みで
すぐに就労というわけにはいかないかもしれません。
でも、登録者数が増えれば
その事が一つの力となり
もしかしたら、企業を動かす力になるかもしれませんね。
詳しくは、こちらをご覧下さい。
キャンサーソリューションズ㈱

2010年11月5日金曜日

日々進化するがん治療

京都で開かれた日本癌治療学会の「日本癌治日報」より
乳がん関連の記事をご紹介します。

10月29日シンポジウム14『トリプルネガティブ乳がんの治療戦略が進化しはじめた』

昨年、乳がん体験者コーディネーター講座を受講時に
「今、治療法に苦慮するのが、トリプルネガティブ乳がん」
という話を聞きました。

一年後の癌治療学会の速報でのこの見出し。
日々進化しているがん治療を目の当たりにしたように思いました。

そして、もう一つ驚きだった記事が
10月30日『消失した腫瘍を正確かつ安全に切除するには?』
という記事です。

術前化学療法で小さくした腫瘍を切除するという術前化学療法ですが
化学療法により腫瘍の存在が確認できない場合もあるとか。
そんな時、どこまで切除するのかの決定が難しいそうです。
そこで、化学療法施行前のCTによる3次元構築画像を
患者の体表に直接投影して、腫瘍があった範囲を把握しながら
手術を行う方法があるそうです。

すごいですねぇ~。

化学と科学で、患者を救う……
ってところでしょうか。

2010年10月31日日曜日

医療費の経済的エビデンス

科学的根拠(エビデンス)に基づいた医療(EBM)については
このところ広く目にし耳にすることが多くなってきました。
でも、経済的エビデンスという言葉をご存知でしょうか。

医療の科学的エビデンスに、経済的エビデンス(経済的な指標)を加味して
総合的に医療費を判断し
公的保険や税金で何をどこまで賄うのかを決定しようという考え方だそうです。

では、医療の経済的エビデンスとはいったい何でしょうか。
それは、ある治療法や薬による「費用対効果」の問題です。
「費用」は治療にかかる費用
「効果」とは、その治療により受けることのできる恩恵とでも言えばいいのでしょうか。
生存期間や、その治療が患者にもたらすベネフィットや
普通に生活できる期間がどのくらいになるのか、といった事です。

英国などの先進国では、すでにこのような考え方が採用されており
英国では、普通の生活を送れる状態で1年間長生きできた場合に
追加で支払ってもよい治療費の上限の目安を3万ポンドとしているとか……

日本でも、最近、医療費の財政問題に関するニュースが目立っているように思います。
例えば
一千万円以上のレセプトが年々増えている(2009年度155件件)や、
高額療養費についての厚労省よる試算のニュース
そして政府の行政刷新会議のライフイノベーションワーキンググループが
公的医療保険の適用範囲を真剣に検討すべきという意見があがったというニュースなどです。
これらのニュースは
行政からの「そろそろ真剣に討議しなければ」というサインのように
私は思っています。

私自身、がんと診断された時に、まず頭に浮かんだのが「医療費」
そして、直ぐに保険会社に電話しました。
医療保険とがん保険で、なんとかなりそうと一安心。
で、やはり何よりの安心は「国民皆保険」制度だったという事は、言うまでもありません。
この医療に対する大きな安心となっている国民皆保険制度を守るためにも
今、医療費の費用対効果に関する議論は、必要だと思います。
けれども、これは非常にセンシティブな問題で
うっかりすると、あの後期高齢者制度の時のような感情論に走ってしまうのではないか
とも思います。

がんに限らず、どんな病気でも治療費は患者にとっては大きな問題です。
特に、がん領域では、今後もどんどん新たな薬や治療法が開発され
それらの治療を受ける事ができることでしょう。

その時、私たちは何を目安にその治療を選択するのでしょうか。
治療費だけで、治療を諦めなければいけない、というのも悲しい事です。
同時に、生存期間は伸びたけれど
その間、耐え難い副作用と付き合わなければならない、という状況も辛い事だと思います。

医療費の費用対効果の問題は、一人ひとりの、死生観にもつながる問題です。
難しいけれど、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。

がんの経済的エビデンスについては
がん治療費.comがん治療の科学的エビデンスと経済的エビデンス
を参照しました。
詳しくは、そちらをご覧下さい。

2010年10月29日金曜日

ブックレビュー「ヒトはどうして死ぬのか 死の遺伝子の謎」

「ヒトはどうして死ぬのか 死の遺伝子の謎」
田沼靖一 幻冬舎親書

細胞に存在する「死のプログラム」がアポトーシス。
そのカウンターとなっているテロメア。
そしてもう一つの死のプログラムがアポビオーシス。
人間は必ず死ぬことができるようにこれらがプログラムされている。

著者は、科学者として、死生観が失われている現在を愁い
有限の時間を生きる意味を死の科学から読みとり
新たな死生観を持つことが大切だとも書いています。

この本を読みながら私は
流転という言葉や
般若心経の世界を感じていました。

昔の人たちが肌で感じ、精神を研ぎ澄まして感じた自然の摂理が
今、科学で解き明かされている
その科学の恩恵で、便利な生活を送っている現代の私たちは
自然の摂理を感じることも
「死」と向き合うこともしなくなった……
特に宗教を持たない私たち日本人からは
「死」が遠ざかっているとはよく言われることです。

著者が書いているように
私たちは今、死の科学から新たな死生観を持つ必要があるのかもしれませんね。

どうしたって逃れることのできない「死」
でもその「死」は、実は、未来の人類のためにあり
それを感じる時、死は永遠へとつながる……

この壮大な宇宙観とも言える視点を感じることができる本です。
ぜひ、ご一読を……

2010年10月21日木曜日

ブックレビュー「がんと一緒に働こう」

「がんと一緒に働こう 必携CSRハンドブック」(CSRプロジェクト編 合同出版)

CSRプロジェクトのCSRとは
Cancer Survivors recruitingの略で
がん患者の就労を考えるプロジェクトです。
このCSRプロジェクトが、がん経験者に呼びかけて作った本です。

がんになっても、働き続くために知っておきたい働く権利や
雇用主とのコミュニケーションの取り方
保険や社会保障の事
どこに相談に行けばいいかや
ワーキンググッズや生活術
などが書かれています。

ここに書かれている事は
がんと診断されても働き続けるために必要な事ですが
ぜひ、多くの人に読んでほしいと思いました。
がん患者さんも、そうでない人も……
もし、職場の同僚や部下ががんと告知されたと知った時
きっと役立つはずです。

この本の最初にも
「がんになっても働き続ける解決策を社会と共有するために、この本は存在する」
と書かれています。

問題を共有すれば、そこに解決の道も見えてくるのではないでしょうか。

2010年10月18日月曜日

リレーフォーライフとグリペック

この間「高額療養費」の話題の中で
グリペックの話をしました。
ところで、このグリペック。
アメリカでのリレーフォーライフで集まった寄付金が
開発の後押しをしたそうです。

びっくりすると同時に
患者としては、うらやましい限りです。
asahi.comがん その先へ(4)より
日本で開催されているリレーフォーライフで集まった寄付金は
日本対がん協会により
がん相談や、若手医師のための奨学金
そして検診率向上のために使われています。

でも患者としては
○○という新薬の治験のため
○○の臨床試験のために使ってもらえたらなぁ~と
思っていたところ、次のニュースを見つけました。

それは「日本癌学会」の第69回学術総会特別企画
「今がん研究に求められること―がん研究に関する提言―」
に関するニュース
です。

関原健夫さん(大腸がんサバイバー・日本対がん協会常務理事)が
「欧米では多額の募金が研究者への助成に使われている。
学会は、積極的に情報を発信し、患者の力を得て
日本にがん研究の応援団を作るべき」
と患者・支援者との連携の必要性を訴えた。

なるほど、寄付金をがん研究に直接関係する分野で使ってもらおうと思っても
がん研究の分野でも、縦割り組織の弊害があるのですね。

ところで、学会というと私たち一般市民からは、雲の上の存在のように感じていますね。
そして、そこでどんな研究が行われ、私たち患者や市民にどのように役立つのか
という情報が、不足していますね。
だから、学会というと、私たちの日常生活とは、何の関係もない
遠い存在になってしまっています。


このニュースでも、ある患者会の代表者が
「先生方からアクションを起こして患者会を有効利用していただけたら……」
と発言されたそうです。

日本でも、リレーフォーライフの寄付金が
がん研究に役立つようになるためには
まだまだ、いくつものハードルを越えなければならないようですね。

2010年10月13日水曜日

高額療養費について

高額療養費制度とは、高額な療養費を支払った時に健康保険組合から一定限度額以上分の支払い額が帰ってくるありがたい制度……と思っていました。
でも、結構ややこしいのです。
差額ベッド代や食事療養費などが自己負担の対象にならない、というのは納得できます。
しかし
一ヶ月とは1日から末日までのこと
自己負担額はレセプトごとに計算されること
通院時と入院時に支払った費用も別々に限度額をこえていること
などは、ちょっと分かりづらいですね。

何せ、乳がんと告知されるまで
いたって健康で、医者嫌いの私は
病院とは縁なく、まして、高額療養費制度など
ちょっと聞きかじっていた程度。

で、告知され、入院・手術・放射線治療と過ぎていくなか
聞きかじった高額療養費制度の皮算用。
ところが、実際かえってきた金額は、私の皮算用よりは少な目。
そこでようやく、先に述べたような
高額療養費制度のややこしい事情を知ったのでした。

高額療養費制度のややこしさも問題ですが
今、問題にされているのが、その財源です。
医療が進歩し、新たな治療法や薬が患者に恩恵をもたらすようになった反面
その医療費は、高額になっています。
そのような現状では、高額療養費制度はなくてはならないものとなっています。
ということは、財源が膨らむ一方、という事です。
厚労省の発表では、高額療養費の見直しに2600億円必要、とも言われています。
しかし、この2600億円という試算が、果たして正しいのか、という意見もあります。
厚労省も、「粗い試算」としています。

ちょっと話は変わりますが「グリペック」という薬をご存知でしょうか。
この薬は、慢性骨髄性白血病の特効薬と言われています。
この薬を飲むことで、普通の日常生活を送りながら、病と共存することができるのです。
けれども問題は、この薬が「高額」で「飲み続けなければならない」という事です。
患者負担は、高額療養費を利用しても一ヶ月10万円以上になるといいます。
この自己負担金を払い続けることが困難となり
「金の切れ目が命の切れ目」という問題が、現実に起こっているとの指摘もあります。

ある試算によると、このグリペックの売上げ額は464億円(2009年)とか
この試算を行ったグループによると、高額療養費の見直しに必要な財源は550億円としています。
厚労省の試算2600億円に比べ、5分の1程の金額になっています。

国民の命に関わる医療費の問題です。
厚労省は「粗い試算」などと言わず
この際「きちんとした(信頼できる)試算」を出して
国民に示してほしいと思います。

そして、私たち国民も
これら医療費問題について、真剣に議論しなければならないと思います。

私たち一人ひとりの命を守るために
何を公費で補い
何を自己責任とするのか
それは、難しい選択となるでしょう。
しかし、財源は空から降ってくる訳ではないのです。

参考にしたHPです。
gooニュース「自己負担限度額見直しの影響を試算」2010年9月8日

Infoseek・内憂外患「がん患者を経済危機から救え グリベッック」

キャリアブレイン「医療保険制度の根本見直しに向けた意見提出へ」2010年5月10日

キャリアブレイン「高額療養費制度の見直しを求め要望書提出」2010年5月21日

医療ガバナンス学会メールマガジン「高額療養費制度見直しに2600億円も必要ですか」2010年10月12日

高額療養費については、以下の厚労省のページをご覧下さい。
厚労省:高額療養費制度を利用される皆さまへ

2010年10月8日金曜日

乳がん体験者のゴスペル

12月に開催される「乳がん体験者のゴスペル」の練習が始まりました。
久しぶりに見る楽譜と、英語の歌詞に、四苦八苦しています。

初練習に向かう電車内で、ふと「不思議だな」と思いました。
それは、私の人生でゴスペルを歌うなどという選択肢があるなんて
思ってもいない事だったからです。

思ってもいない事は、ゴスペルだけではありません。
乳がんと診断されてから、私の目の前に次々と新しい世界が広がってきました。
病の事を勉強して広がった世界
同じ病の人との出会いを通じて広がった世界
その全てが新鮮で、全てにワクワクしています。

それは、
がんと診断されてから、私自身が
より積極的に生きるようになったから
かもしれません。

患者が治療を選ぶということ

「がんナビ」というサイトの「肝がんには2種類ある!」という記事を見て
思い出したことがあります。

この記事は
肝がんには、肝細胞のがんと肝臓以外の臓器で発生したがんが転移したものがあり
両者は、全く異なる性質を持ち、治療法も異なる。
この違いを理解して、適切な治療を……
という内容です。

詳しくはこちら→クリック

実は私も長年、この勘違いをしていました。
私の母は、30年前にがんで亡くなったのですが
ず~っと病名を「肝臓がん」だと思っていました。

自分が乳がんと診断され
遠隔転移について勉強して
ようやく、その間違いに気づきました。
母の病気は
「大腸がん」で「肝臓への遠隔転移」
なのでした。

また、ある時
知り合いに、乳がんについて色々話していた時に
この遠隔転移の話になり
「もし肝臓なんかに転移したとしても
肝臓がんではなくて、乳がんの遠隔転移だったら
乳がんと同じ治療なんだって」
と言うと、知人も「へぇ~っ」と、驚いていました。
その時「遠隔転移」の事って
多くの人が勘違いしているんだなと思いました。

がん治療においては、しばしば、その治療法の選択を迫られる時があります。
その時、まず自分の病を正しく理解している事が大切です。
そして、自分の人生観や価値観も問い直してみる必要があるでしょう。
そして、今の自分が一番大切にしたい事を考え
治療を選択していくのだと思います。
その時、標準治療であっても
その優先したい事のために、標準治療を選択しない場合もあるかもしれません。

乳がんでは、乳房を失いたくない……という理由から
手術ではない、切らない方法での治療を望む方もいらっしゃいます。

もしそれが、その方の人生の価値観で、ベストの選択なら
私は、まずはそれが尊重されてもよいと思っています。

ただ、大前提として
自分の病を正しく理解すること
は必要です。

私が、自分の病を正しく理解するため
非常に役だったものがあります。
それは、病理検査の時のメモです。
vol-netという乳がんのサイトで見つけた病理検査のチェックリスト
このチェックリストを印刷して主治医に見せると
主治医が、説明をしながら、記入して下さいました。

その時は、説明を受けながら、内容も十分理解した筈でした。
その後、乳がんについていろいろ勉強しました。
そして、半年後、そのチェックリストを見直してみると
随分、いろいろな事を、誤解していました。
都合の良いように解釈していた事や
とても心配しすぎていた事があることがわかったのです。
今でも時々、そのチェックリストを見直すことがありますが
つくづく、病を正しくするのは難しいものだなと思っています。

患者が治療を選ぶ時には
正しい知識と同時に
常に、自分が選択した治療を見直す事も必要かなと思っています。
時間が経てば、その人の置かれている状況や環境や
体調や病にも変化が出てきます。
また、新たな治療法や薬が出てきているかもしれません。
一度決めた治療法でも
主治医や医療者と相談しながら
常にその見直しをすることが大切ではないかと思います。

そして、何よりあってほしいのは
このような難しい選択を迫られる患者へのサポート体制です。
時には、自分の人生観から見つめ直す事も必要なこともあります。
そのサポートには、医療関係者のみならず
あらゆる分野からのサポートが必要なのです。

2010年10月6日水曜日

笑っちゃおう!!の会

がんサロンに参加されている方が「笑っちゃおう!!の会」を企画されています。

不安や恐怖を、この場に置いて
明日からの一歩を踏み出してほしいと
音楽と語りとおいしい食事をしながらおしゃべりしよう
という会です。

10月24日の日曜日、午後の一時を
ご一緒に楽しみませんか?

詳しくは、こちらをご覧下さい(クリック)→http://ameblo.jp/fuku-jun/

ゆったりと流れる音楽に身を委ね、みんな笑顔になれればいいねっ。
今から、楽しみです!!

免疫という言葉の危うさ

「免疫力を高める食事」
「笑いは免疫力を高めます」
免疫力は、体の防衛反応のようなもの
その力を高めると、感染などに強くなる
体を健康に保つことができる

一般的に「免疫力」は、このようなイメージで
語られることが多いのではないでしょうか。
そのため「がんの免疫療法」に対するイメージも
一般的に、良いイメージを持たれているように思います。

でも、がんの免疫療法は
臨床試験段階です。
ですから、エビデンスがあるものではありません。
なのに、一般的に何かよいイメージを持って語られることに
ある危うさを感じてしまいます。


このようなとてもイメージのよい「免疫」という言葉に
ある危うさが潜んでいるように思っていました。
そして、次に紹介する記事を見つけました。

チームオンコロジー.com
連載コラム―それぞれの立場から
vol.29「がん免疫療法は確立された治療法か」


そのコラムには

インターネットで「癌免疫療法」という言葉を検索しますと、数多くのサイトがヒットします。その多くが、スポンサーのサイトや免疫療法を行っていると言われるクリニックの情報です。がんの免疫療法の可能性はあるにしても、信頼できるエビデンスが多くない状況で、これほど多くのクリニックで免疫療法が提供されているのは、不思議な感じがしますし、問題になることも多いかもしれません。

免疫療法を受けたいという希望がある方は、適切な臨床試験で証明されていない免疫療法を提供しているクリニックや、がん細胞数(病期)に関係なく効果がある、治癒するなどの誇大広告をしているクリニックではなく、臨床研究(試験)を行っている施設や、高度医療と承認された免疫療法を提供している施設で、ご相談の上、免疫療法を受けるかどうかを決めることをお勧めします。

と書かれています。

高度先進医療を行っている施設は、厚労省のサイトで確認できます。


また、がん免疫療法で検索したところ、次のような文章を見つけました。
そこには、「免疫療法の問題点」として
末期になってから免疫療法が試みられることが多いが
それでは、本当の効果はわからない。
早期から積極的に使われるようになれば、もっと良い評価が得られるのではないか
というものです。

でも、この考え方には問題があるように思います。
ある新しい治療が、有効かどうか、安全かどうか
それは、綿密に計算された臨床試験や治験を繰り返し
多くのデータを集めて
初めて評価されるものなのです。

先程、紹介した文章では
「とにかく、この治療法は効果がある。
でも、未だ評価されないのは
積極的に利用されていないからだ」
という事だと思うのですが
効果がある証明、すなわち、エビデンスが確立されていない治療を
積極的に行うという危険性が、考慮されていないように思います。
エビデンスはないけれど
まずは、使って効果を確かめよう
という事なのでしょうか。

治療(医療行為)は、命にかかわる行為
という事を
医療者はもちろんのこと
私たち患者も今一度、心に刻む必要があるように思います。

がん免疫療法について、がん情報サービスに詳しく解説されています。

2010年9月25日土曜日

患者アドボカシー

9月23日、ジャパン・ウェルネス主催の
患者アドボカシーについての講演を聞きに行きました。

患者アドボカシーを正確に日本語に訳すのは、難しいとのことですが
「患者の権利を主張し、その権利の行使を支援する」
とでも言えばいいのでしょうか。

この講演で、患者アドボカシーの段階という話がありました。

患者アドボカシーの第一ステップ
自分にとって
家族や大切な人にとって
最高の医療を受けるために
患者が出来ること・しなければならないこと
家族や周囲の人が出来ること、しなければならないこと
まずは、その事から始まる。
患者や家族が、病に主体的に関わる努力をする責任がある

第二ステップ
患者や家族が、どのようなケアを必要としているかを
病院や地域に訴えること

第三ステップ
それらを医療政策として訴えること

とまあ、こういう具合だそうです。

また、この講演で紹介された
アメリカ政府の報告書
「Cancer care for the WHOLE PATIENT」には
患者は、生物学的ケアのみではなく
心理的ケアも必要としている。
がん治療における心理社会的サービスの提供に関する
医学的根拠は、十分に認知されている。
と書かれているとか。

講演者の一人は、この冊子を
「バイブル」といい
もう一人は
「地図」と表現しました。

患者自身や、患者を支える人達が
バイブルとも地図とも呼べる
このような報告書の存在は
まさしく「社会全体で支える」ことの証明とも言えます。

また、講演者は次の事も繰り返し言っていました。

「患者は、体験者と話すことを必要としている。
そしてそのことが有効であるというエビデンスがある。」

今年の5月から始めたがんサロンでは
体験者同士、話し合える場があることが必要なんだ
ということを実感しています。
全国には、今、様々なサロンが出来ています。

ただ、日本社会全体を見渡すと
まだまだその必要性が認識されていないのが実状ではないかとも思います。

地域や病院がその必要性を認識するまでには
まだまだ、地道な努力とねばり強さが必要なのでしょうね。

病院内のがんサロンを立ち上げた患者さんのお話では
「院内にがんサロンを作りたい」と病院へ訴えかけてから
実際にできるまでに、2年かかったということでした。
講演後、その方にお話を伺うと
「その2年の間、時には涙したこともあった」とのことでした。

2010年9月16日木曜日

親のがんを子どもにどう伝えるか

世話人の本村さんの「第四回・がんサロン活動報告」に、次のような事が書かれていました。

「親のがんを、子どもにどのように伝えますか」
「高齢の親の、がんの告知をどのように考えますか」

親ががんであることを、子どもにどう伝えるか

私の子どもは既に二十歳を超えていたので、躊躇することなく子どもには本当の事を話しました。二人の子どもたちの受け止め方はそれぞれでしたが、それ相応のショックはあったようです。でも、その事に気づいたのは、私自身手術を終え、落ち着いた頃でした。

それは、術後一ヶ月くらいたった頃でしょうか。私が愛犬とじゃれているとき二男がぽつりと「お母さん、元気じゃん」と、ポツリと言ったこと。
そして、長男と話している時に感じた「結構、乳がんの事勉強したんだな」と思わせる一言です。
改めて、二人に心配かけたんだなと実感するとともに、もう少し伝え方を考えるべきだったかなと反省しました。
人間ドックでしこりを指摘され、次の日に精密検査を受けてと慌ただしいなか、家族の気持ちを考える余裕がなかったんだと思います。

そして、この問題がとても深刻なものであると気づいたのが、NPO法人キャンサーネットジャパンの乳がん体験者コーディネーターの講座を受けている時に「子どもに自分の病気の事を言う時に、躊躇した」と聞かされた時でした。

親が子どもに、自分のがんをどう伝えるか。
これは、子どもの年齢に関わらず、大切な問題です。

また、高齢の親のがんをどのように本人に告知するか、もまた難しい問題であるようです。
今病院では、インフォームドコンセントという事で、病について詳しい説明をしますが、高齢者にとって、その話が本当に理解できているかどうか。高齢者に理解できるように説明されているかどうかは、はなはだ疑問に感じることがあります。

いずれにしても、このような問題があるという事を、日本社会全体が認識すること、がまずは大切です。

がんになった親を持つお子さんをサポートするHopeTreeが行った医療者へのアンケートでは、問題意識はあるものの、日本の医療機関においてこの問題に取り組む環境が、まだまだ出来ていない実体が浮き彫りにされました。
そのアンケートの考察の最後には、「医療者自身がこの問題に対する知識や方法を学ぶことが支援への第一歩」とあります。

この第一歩が次の一歩へとつながり、患者を支えるシステムが構築されるように期待したいと思います。

2010年9月10日金曜日

「がん」にまつわるコンテスト

がんにまつわるコンテストのお知らせです。
まずは、厚労省から

「平成22年度がん検診50%達成に向けた体験談コンテスト」
~ がん検診 愛する家族への 贈りもの ~

がん検診による「早期発見」
その「早期発見」で救える命がある
その命は、自分だけのものではない……
というテーマに添った「がん体験」を400文字にまとめて応募。
締め切りは、9月24日(金)当日必着

次にご紹介するのは
日本イーライリリー株式会社主催の
がんと生きる 私の物語


絵画や写真に、エッセイを添えて応募します。
あなたの体験が、同じ体験を持つ人々への勇気となることでしょう!
というプログラムです。

この「リリー・オンコロジー・オン・キャンパス」は
米国イーライリリーとNCCS(全米がん経験者連合)によって
2004年から実施されているそうです。

日本では、(財)日本対がん協会の後援となっています。

こちらの締め切りは
2011年1月31日(月)必着。


詳しくは、それぞれのホームページをご覧下さい。

2010年9月8日水曜日

がん治療に伴う脱毛ケア

化学療法や放射線治療での脱毛への
不安や辛さには
女性も男性もないのです。

男性だって
髪の毛が抜けるのは辛いもの。
まして
眉毛や髭も抜けていく……
自分が自分でなくなっていくような
不安にかられることでしょう。

たかが外見
治療が第一、命が第一

それは、そうかもしれないけれど
人として生きていくためには
“自分”であることが大切ではないでしょうか。

がんの治療中だって
自分を自分らしく表現することは
生きる力にもなるはずです。

大鵬薬品提供のホームページ
「サバイバーシップ―がんと向き合って」の
「抗がん剤、放射線治療中の脱毛ケア」には
脱毛のこと、かつらのことや
バンダナの巻き方などの動画があります。
また、眉毛やまつげ、鼻毛が抜けることに伴う
生活上の注意(サングラスやマスクの必要性)なども
書かれています。
(静岡がんセンター発行の冊子をもとに
つくられたそうです)

私は、このホームページを読んで
男性の脱毛ケアの大切さに
気づくことができました。

2010年9月3日金曜日

乳がん体験者100人のゴスペル参加のお誘い

乳がん体験者が歌うゴスペルのご紹介と参加のお誘いです。

Just Stand Up!―勇気をもって踏み出そう―を合い言葉に
「ブレストキャンサーサバイバーズコーラス隊」は
乳がん体験者100名でゴスペルを歌います。

12月3日(金)タワーホール船堀で行われる
「亀渕友香&VOJA」のゴスペルコンサートの中
乳がん体験者のコーラス隊が2曲を歌います。

そのうち一曲は「Just Stand Up!」という曲です。
2008年9月5日、アメリカ3大ネットワークで同時放送された
がん撲滅のためのチャリティ番組「Stand Up to Cancer」で
歌われたチャリティソング。詳しくは→こちら

このコーラス隊に、私も参加します。
「あなた自身で気づくの……とにかく立ち上がりましょう」
という歌詞が、多くの人に伝わればいいなと思っています。

参加費は、15000円です。
参加費の中には、当日のコンサート代も含まれています。
興味を持たれた方は、今すぐクリック


このコンサートのチケットは、9月12日から
タワーホール船堀で発売されます。

コーラス隊として参加する方
当日のコンサートに来て下さる方
多くの方との出会いがあることを願っています。

乳がん治療の選択肢―乳房再建

乳がんと告知されてから一ヶ月で
あれよ・あれよという間に
手術を受けた。
「がん」と聞いたからには
とっとと手術しておいた方がよい……
その時は、それがとても安心できることのように思えた。

が、今もしあなたが乳がんを告知されたとしたなら
その場で少し深呼吸しては……とアドバイスしたいと思う。

なぜなら
乳がんは進行が遅いものが多い。慌てる必要はない。
(ここのところは、しっかり主治医に確認。
 同じ乳がんといっても、それぞれに違うものだから)
まずは自分のことを振り替えってほしい。
今の生活や趣味・嗜好。
何を大切にし、今後どのように生きていきたいのか。
自分にとって、一番大切なものは何か。

自分にとって一番大切なものは命。
でも女性の場合、乳房が大切という人もあるだろう。
その気持ちは、大切にしてほしいと思う。

また、乳房よりも命、と思っている女性でも
温存手術で、どれくらい変形するのか
を主治医に聞いて、今一度、ゆっくりと考えてほしいと思う。
全摘と言われたならば、再建を視野に入れ
自分が納得できる再建をしてくれる医師を見つける努力をしてほしい。
乳腺外科医は、再建の専門家ではない。
乳房再建は、形成外科の領域だ。

このような事を書くきっかけは、8月に行った講演会。
それは、東京のナグモクリニック主催の「乳房再建サポーター養成講座(総括)」
テレビでもおなじみの南雲先生のお話は、とてもわかりやすかった。
そして、亀田総合病院の福間先生のお話では
「オンコプラスティックサージェリー(oncoplastic breast surgery、乳房腫瘍形成外科)」
という言葉を聞いた。
お二人の先生の話を聞きながら
告知から手術までの間に
乳房再建とか、美しい乳房を残す
などという話を聞いた事もなければ
考えた事もなかったなぁ~と
一年半前の自分を思い出していた。

そして、治療の初期からのチーム医療で
乳腺外科医のみでなく
乳房再建について相談できる形成外科医や
乳房そのものについてどのように思うかをじっくり相談できることが
できればなぁ~と思った。

そんな事を、講演後の自己紹介で言ったら
南雲先生が「それを医療者に求めても駄目」
「体験者として、是非、声を上げて下さい」
というコメントをもらった。

機会があれば、この事を多くの人に伝えたいと思う。
乳がんと告知された人は、もちろんだが
全ての女性に、伝えたいと思う。

2010年8月18日水曜日

リレー・フォー・ライフinちばへの参加準備―manmarujizouの大失敗

お盆休暇で、すっかり「のんびり・まったり」ムードの私。
リレー・フォー・ライフの準備も、「ま、大丈夫」と思っていたが、本日、大失敗に気づいた。
それは、ゼッケンの注文。
オリジナルゼッケンを「20~30枚作って、いくらになりますか」とメールで問い合わせたところ「2700円」という答え。
「へぇ~。安い!」と大喜びの私。さっそく、こちらの画像を送ったり、「ああしてくれ・こうしてくれ」と色々要望をいったり……というのが、昨日の話。
夜、お風呂につかって、ふと思った。
「2700円って、もしかしたら、一枚の値段?」
朝、電話して確認。
「当然、一枚の値段ですっ」(電話の向こうから、一枚2700円なんて、そんな馬鹿な……という雰囲気が伝わってくる」
「そうですよねぇ~。一枚2700円ですよね~。あの~、ちょっと予算の関係で、ちょっと考えさせて下さい」

あ~っ、というわけで、チームゼッケンは夢と消えた。

変わりに、チームバンダナを作ろうと思っています!!
どこまでもめげないmanmarujizouでした。

2010年8月10日火曜日

がんを語る―「生活目線でがんを語る会」

7月23日に「生活目線でがんを語る」というイベントがあったそうです。

がんを、医療という視点からではなく、がんになると生活の面でどんなことが起こるのか、お金・仕事などなどを体験者の語りから考えようと開かれたそうです。

当たり前ですが、自分や身近な人に「がん患者」がいないと、どうしても無関心になってしまい、私たち(がん体験者)が当たり前と思っていることでも、新鮮な情報だったりするようです。

そう言えば、甥っ子に「禁煙のすすめ」をしていた時、「自分の周りに、タバコを吸っていてがんになったって人、いない!」と言ってたっけ……

今国が「がん検診、受診率50%」などという目標を掲げているようですが、なかなか、検診率が上がらないようです。
それはきっと、まだまだ身近にがんを感じている人が少ないということかもしれません。
なんとなく「具合が悪くなってから診てもらえば」と思っているのかもしれません。
がんは、何も症状がない“健康な時”にこそ、早期発見できるのです。
でも、健康な時は、人は誰しも、医療とは無縁と思って暮らしているから、がんについての医療関係の講演会など、目にも耳にも入ってこなくて、当たり前かもしれませんね。

その点、この「生活目線」という言葉は、人々の心にヒットするかもしれませんね。

「生活目線でがんを語る会」はYOUTubeで見ることができます。

2010年8月6日金曜日

がんの痛みは、がまんしなくてもよいのです。

がん=死
がん=強い痛み

今でも多くの人が持っているがんへのイメージではないでしょうか。
しかし、がんの痛みは適正な管理によりケアすることができるのです。

がんの痛みに関する緩和ケア情報サイト「がんの痛みネット」では
がんの痛みやそのケア
痛みの上手な伝え方などが
分かりやすく書かれています。

ぜひ一度、ご覧下さい。

がんの痛みは、がまんしなくてもいいのです。
WHOは、患者には痛みをコントロールするための十分な鎮痛薬を投与される権利があり
医師にはその義務があると言っています。
がん対策基本法においても、療の初期段階から緩和ケアの実施を推進していくこと
とされています。

ご紹介した「がんの痛みネット」は
SCORE-Gという医師と薬剤師を中心に活動している団体で
緩和医療の現場に役立つ共同研究や
わかりやすい情報提供を目指しているそうです。

2010年8月3日火曜日

抗がん剤中でもおいしい食事―千葉県がんセンターとキッコーマン(株)共同研究

千葉県がんセンターとキッコーマン(株)が
抗がん剤治療中でもおいしく食べられるレシピの
共同研究をすると発表
キッコーマン(株)HP・ニュースリリース

抗がん剤治療に伴う
食欲不振や
味が変わってしまう
とはよく聞く話。

患者が
おいしく食べることができるレシピは
家族にとっても
ぜひとも知りたいことだと思う。

研究期間は、24年3月末日までという。
おいしいレシピ集ができることを期待したい。

2010年7月30日金曜日

がん患者とアロマについて

アメリカのMDアンダーソン病院の敷地内には、患者および介護者が癌と共に暮らしていく医学以外の問題に役立つことを目的とした「癌治療総合センター」という施設があります。
そこでは、アロマセラピーの講座なども開かれ、アロマセラピーの基本知識や安全性に関する注意点を学んだりできるそうです。
アロマセラピーは、リンパ液の排出を促したり、不安や吐き気を抑えたり、眠気を誘ったり、一時的なリラクゼーションにプラスに働くそうです。
(以上、海外癌医療情報リファレンス/癌翻訳リファレンス/最新研究/代替医療2006-08-03)

がんとアロマセラピーについては、日本でも研究され、補完代替医療ガイドブックの中に掲載されています。
厚労省がん研究助成金によるがんの補完代替医療に関する研究で、今年の四月「がんの補完代替医療ガイドブック」第2版が発行されました

そこには
がんが縮小したり消失したりすることはない

不安感やうつ症状などの精神的症状の改善効果
痛みなどの身体的症状の改善効果
抗がん剤や放射線治療の副作用の軽減効果
などのQOLの改善効果が認められるのではないかと書かれています。

でも、「効果がない」という臨床研究もあり、
今後も更なる研究が必要だとしています。

何よりも問題なのは、アロマ(精油)によっては、悪影響を及ぼすものがあるため、主治医や専門知識や技術のある人に相談しながら使うことが大切だということです。

実は、私はちょっと寝付きが悪い時など、カモミール茶を飲むとぐっすり眠れます。
でも、ホルモン療法中の乳がん患者はカモミールを使ってはいけないと聞きました。
なぜなら、私の飲んでいるタモキシフェンというホルモン剤は、エストロゲン受容体をブロックすることで女性ホルモン(エストロゲン)の働きを抑制しています。
が、カモミールは、このような薬の効き目を弱める恐れがあるそうです。
なので、今はカモミール茶は飲んでいません。

このような注意は必要ですが、アロマを上手に使って生活に潤いをもたらしたいものですね。

NPOピュア・船橋がんサロン「ここにおいでよ」では、リレーフォーライフinちば2010に参加し、アロマハンドマッサージの模擬店を開きます。
ぜひ、お越し下さい。

リレーフォーライフinちば2010は、9月18日(土)12:00~19日(日)12:00、八千代市総合運動公園内多目的広場で開催されます。

2010年7月21日水曜日

閉経前・閉経後という区分

「がんナビ」というサイトに“ASCOが6年ぶりに乳がんホルモン療法のガイドラインを改訂”というニュースが載っていた。

その内容は
・閉経後の女性患者では、タモキシフェン投与後、AI(アロマターゼ阻害薬)の投与を考慮すべき。
・タモキシフェンは閉経前・閉経後のすべての女性患者に投与すべき。
 閉経前および閉経期の女性には、診断時から5年間タモキシフェンを投与することを推奨。

といった事。
私が注目したいのは「閉経期」という言葉。
キャンサーネットジャパンの乳がん体験者コーディネーター講座を受講していた時、「乳がん発症のピークと言われる年齢は、閉経前でもなく閉経後でもない状態の方が多いはず。なのに、閉経前と後という2つの分け方しかないのは、なんか、納得できないな」と思っていました。

実は私も、そのどっちつかず状態の時に乳がんと告知されました。
ホルモン感受性ありのためホルモン療法適用。
でも、ガイドラインなどを見ても閉経前と閉経後の説明しかありません。
細かいことはいちいち気にしない性格なのですが、これだけは、何かひっかかっていました。

今後、ガイドラインなどでは是非
閉経前・閉経期・閉経後と3区分の表記でお願いしたいと思います。

……こんなことにこだわるの、私だけかな……

2010年7月20日火曜日

患者サロンについて―第15回日本緩和医療学会学術大会より

6月19日のシンポジウム「実証研究から見るスピリチュアルケアの方向性」の中で、

患者がどのような「スピリチュアルケア」を望んでいるかというインタビュー調査の発表があった。

その中で、すべての精神的苦痛に対して、有効だったことはという問いに対し次のような答えがあったという。

・ 病気以外の話も聞いてくれる。

・ 気持ちをわかってくれる。

・ 一緒に考えてくれる。

・ 患者の意思を第一に考えてくれる。

・ 普通に接してくれる。

これって、私たち「患者サロン」でしていることじゃないの?と思っていたところ、京都大学大学院 人間・環境学研究科の佐藤泰子氏から、「患者サロン」についての研究発表がありました。

『患者の語りを患者が聴くことの意味』

京都大学大学院 人間・環境学研究科 佐藤 泰子


「患者に患者のケアができるのか」という問いに対する答えとしては

患者は患者の体験や苦しみを知っている。そこに、援助の可能性があるかもしれない。回復させる瞬間があるかもしれない。

これだけは言える。

「そうだよね・つらいよね」という言葉の重みが違う。

この「わかってもらえた感」の違いは、セルフケアのスタートとなるのではないか。

患者は、退院すると健康な人たちの中で病を語れないという孤独感にさいなまれる。
この患者の不平・不満を誰かが受け入れることは必要であり、医療者との関係性や治療への意欲という点においても有効ではないだろうか。


「患者が自分の病を語ることの意味」について

人は苦しい事があったとき、そしてその苦しい事をどうすることもできない(苦しい事が不可避である)時、自分の思いを動かして対処しようとする。

病を語る事で、自分にとっての病の意味や認識を変更させて、新しい意味を探し出すのではないだろうか。

患者は、語ることによってバラバラに浮かんでくる思いを再構築し、閉塞された圧倒的な苦しさから少し解放され、次のステップへ進むことができる。


サロンに集う患者は、聴くということで、同じ病の患者をを支える。


患者が語り、患者が聴くことの意味は、まず「どうせ話してもわかってもらえない」という蓋を外せるということではないか。

「わかってもらえない」という蓋を取り外すことができ、「わかってもらえた気がする」ことが、患者サロンでの患者の語りの意味ではないだろうか。


しかし、同じ患者同士といっても、自己と他者の間には溝がある。

この溝があるからこそ、一生懸命語ることができ、苦しさからの解放が始まり、新しい意味と出会うことができる。


聴く役割をになう患者も、語る患者との関係性で自分の役割に気づき、自己肯定や生きる意味を見出すことができるのではないか。

患者サロンには、談話型・レクチャー型・混合型などいろいろあるが、今後は、サロンの問題点を洗い出し、運営の方法論を確立していく必要があるのではないか。

患者サロンは、パラレルなケアの場であるべきであり、ファシリテーターや世話人の質も問われることになるだろう。

そして、参加者の「聴いてあげる力」も大切。参加者が、「聴く」という役割をになっていることを自覚することも必要ではないだろうか。



佐藤先生のお話は、患者として、そして患者サロンを運営するものとして「納得」の連続であると同時に、このような患者サロンでありたいと思えることばかりでした。
特に「患者が語ることの意味」そして「その話に患者が耳を傾けることの意味」には、サロン運営の柱ともなる考え方だと思いました。

がんサロンを立ち上げて3か月。

まだまだ「がんサロン」というものが、一般に認識されていない。

一般もそうだが、医療者にも患者自身にも、がんサロンは認識されていない。

がんサロン運営は、課題が山積みだが、私たち世話人もしっかりと勉強をして、患者にも、医療者にも、そして地域にもその必要性がわかってもらえるようにしていきたいと思う。

2010年7月18日日曜日

がんと免疫

がんになると気になる言葉に「免疫力」というのがあるのではないだろうか。
私も「免疫力アップでがんに勝つ」などと言った本のタイトルに心惹かれてしまう時期があった。そして今も「免疫力」という言葉は、妙に気になる言葉だ。
今、NKT細胞を標的にして治療する免疫細胞療法や、ペプチドワクチン療法「免疫療法」が研究されているという。
が、いろいろな代替療法の中で、この「免疫」という言葉が独り歩きしている感も否めないのではないだろうか。

免疫って一体なんだろう?
そんな疑問を持っている方へ、NPOがん患者支援機構による講演会のお知らせです。

8月7日 「こころと免疫」14:00~18:00 東京大学附属病院

現代葬儀事情

7月12日、長い間闘病生活をしていた母が亡くなった。
本当に闘病生活が長かったので
心から「ご苦労様」と言ってあげたい。

ところで……
3年前父の葬式をした。
その時と、今回と
葬儀の様子が様変わりしていた。

父の時も、今回も
「家族のみの密葬」
という形式で行った。
通夜も告別式も
自宅で、本当に家族のみで行った。
ご近所の方へは
葬儀のご挨拶に行き
自治体にも連絡しない
(訃報の回覧は回さない)旨を伝えた。

葬儀会社との話し合いで
母らしい葬儀を演出してもらった。
華やかな事が好きだった母のために
祭壇を飾る花も、形式にこだわらず
淡いピンクを基調にした
とてもきれいなものにしてもらった。

ところで、3年前と何が様変わりしたかというと
遺影に、リボン飾りがついた事だ。
ちょこんと飾られたリボンは
とてもかわいかった。
で、火葬場にいくと
どの遺影にも、同じようなリボン飾りが着いていた。

このリボン飾りも
故人を偲ぶ気持ちに寄り添う
よいアイデアだとは思った。
が……
それぞれの葬儀社で工夫されたリボン飾りが
今後、どんどん派手になっていったら……
などと想像してしまった。

父の葬儀を出す前は
「葬儀には金をかけない主義」を豪語していた私だが
父と母の葬儀を出して思うことは
葬儀は、残されたもののためにあるということ。
予算の大小や、形式にとらわれず
残されたものの気持ちに寄り添った葬儀であることが大切だと思う。

父の葬儀では、阪神ファンだった父のため「六甲おろし」で見送り
今回は、フラワーシャワーで見送った。
この、ちょっと常識はずれに見える葬儀は
私にとっては、大切な思い出であり
グリーフケアにもなっているような気がする。

……この意見に姉も概ね賛成なのだが
いつも言うことは
「自分の住んでいる所では、土地柄、こんな葬式は無理かもね……」
まだまだ、古い風習にしばられている所も多いのだろう。

2010年7月7日水曜日

終末期医療を考える

私は、今年の5月末までパルシステム・セカンドリーグ公式ブログで「誰でも通る、延命治療、終末期医療」という記事を書いていた。
それがご縁で、小金井東公民館より市民講座「こころをつなぐ看取り」の講師を頼まれた。
厚労省の「終末期医療のプロセスに関するガイドライン」や日本病院協会の「終末期医療に関するガイドライン~よりよい終末期を迎えるために~」を引用し、「自分の受けたい終末期医療のためには、意思表示をしておくことが大切」というところに重点をおいてお話をした。
そして、自分の意思に基づいた終末期医療(終末期緩和医療を含む)を受けて自分らしく人生を全うする姿は、残された人への命のメッセージとなるのではないかという言葉で締めくくった。

私の話の後、ご家族の看取りを経験された方から、いろいろなお話をきくことができた。
そして、そのお話を聞いた参加者から「貴重なお話だった」という感想を聞くことができた。

日常生活から死が遠ざけられた社会で生きてきた私たちは、人の終末期についての知識があまりにも少なすぎる。
だから、終末期医療について考えなければ……とは思っても、なかなか考えることができないのではないだろうか。

いろいろな方の看取りの事例を集めたホームページを作ってみたいな……
この講座を終えて、そう思っている。

2010年6月29日火曜日

看取りを考える―第15回日本緩和医療学会学術大会より

19日のランチョンセミナー「在宅緩和医療の課題」と題して、医療法人社団爽秋会岡部病院の河原医師が講演された。
年間280名以上の末期がんの患者さんの自宅での看取りを支えている病院の医師の言葉には、患者として一市民として心に響く言葉が数多くあった。
その中のいくつかを紹介しようと思う。

家族に迷惑をかけたくないという患者の思いについて
今まで一生懸命家族のために働いてきたのだから
最後くらい、迷惑をかけてもいいのではないだろうかとも思う。
いずれくる自分にも死が訪れるということを実感するよい機会となる。
そして、看取る家族は、いずれは看取られる家族になる。
看取りの経験が受け継がれていく。

「死」は医療ではない。
お産と死は、医療ではない。
病院に死の専門医はいない。
すべて病院にお任せしてればいいという誤解がある。
現代科学では治せないという事実を家族も理解する必要がある。
病院は、看取りの場ではないという認識も大切。

死が医療者に近づきすぎていないか。
死には、宗教家など、いろいろな人が関わるべきではないか。
そうして、それぞれの地域社会にあった、看取り文化の再構築が必要ではないか。
「看取りと死と医療」を整理することが必要ではないか。

超高齢社会においては、施設での看取りの必要性は高い。
施設の中で看取りを行わないという所が多いが、具合が悪くなったら病院というのはちょっとおかしいのではないか。
今後、小規模グループホームに適切な医療が在宅医療の形で介入することが可能になれば、ニーズギャップが解消されるのではないだろうか。

セミナーを聞きながら思うのは
在宅での父を看取りを諦めた時のこと。
病院の看護師さんやソーシャルワーカーが
父の状態から、在宅療養は大変ではないか
といったこともあるが
家へ連れて帰るのを断念した一番大きな理由は

「死」を見つめることの不安
もしかしたら、私が一人の時に
父に「死」が訪れるかもしれないという不安
だったように思う。

在宅での看取りは
大変なことも多いけれど
家族には、看取りの満足
できるだけのことはしたという気持ち
が残るという。
しかし、在宅医療を支える医療者の数も
そのシステムも、十分だとは言えないのが現状。
そして、家族へのケアも
考えなければならない大切な問題だと言う。

看取り、看取られる人を支えるためには
医療者だけではなく
福祉関係者や宗教家そして、ボランティアなど
地域ぐるみでの取り組みが必要なのだろう。

2010年6月28日月曜日

終末期について考える―第15回日本緩和医療学会学術大会より―

シンポジウム「遺族による緩和ケアの質の評価―J-HOPE研究から見えてくるもの」
ホスピスと緩和ケア
ホスピスは、患者と家族に医学的・心理社会的そしてスピリチュアルなケアを追求する場として発展。
ホスピスで提供されるケアを「緩和ケア」と表現。
ホスピスのみならず、在宅サービスにおいても「緩和ケア」の概念が導入されてきました。

緩和ケアサービスの質について
質の保証がないと
患者や家族の受ける苦痛が増す
医療費の無駄使いもあり得る
という懸念があります。
また、サービスを提供している側の
「よいサービスをしている」という思い込み

個別の事例ですべてを評価することは医療者の職業倫理に反するのではないか
という観点からも、質の保証は大切です。

日本における緩和ケアサービスの質の評価は、全国ホスピス・緩和ケア病棟連絡協議会(現在のNPO法人日本ホスピス緩和ケア協会)が1998年6月に評価基準検討委員会を発足させたのが始まりです。
今回の発表は、2006年度から3年をかけて行われた「遺族によるほすぴす・緩和ケアの質の評価に関する研究」です。

今回は、このシンポジウムを聞いた、患者として市民としての感想を書きます。

患者の「迷惑をかけているのではないか」感
多くの患者が「家族に迷惑をかけているのではないか」や「自分には存在価値があるのだろうか」という負担感。
平成20年に行われた厚労省の調査でも、最期は病院や施設で過ごしたいと思っている人が、その理由として「家族に迷惑をかけたくないから」と答えています。
この調査では、患者の負担感軽減のためには「負担を感じさせないケア」や「してもらっていると感じさせない態度や言葉使い」「本人の自立を最大限いかしたケア」「本人のやる気を支える」ことが大切だとされました。
これは、家族が患者を支える時や介護する時にも言えること。
でも、もし自宅で最期を過ごすとなれば、24時間一緒にいる家族にとっても大きな負担。
そのためにも、家族や支える人をケアするためのシステムの充実が必要ですね。

予後の伝え方
患者より先に、家族に予後が伝えられることもあるとのことですが、そのことに関する家族の負担感は大きいようです。
予後をどのように伝えるか、誰が伝えるのか、誰に伝えるのか、どのような場所で伝えるのか
伝え方一つで、家族の理解度や負担感が大きく左右されるのではないでしょうか。

終末期における本人の意思の重要性については、この学会でも何度も耳にしましたが、終末期に本人の意思に添った治療が行われるためにも、この予後の伝え方は大切な問題だと思います。

食べられなくなった時

患者が食べられなくなった時、家族は「もうなにもしてあげられない」という無力感に陥るといいます。
終末期における脱水が必ずしも苦しくないことを伝えることが重要だとされました。

「食べられなくなった時」という問題は、がん患者のみならず高齢者の終末期においても大きな問題となっているのではないでしょうか。

そして、これまたこの大会で何度も聞いた「看取りの教育」の必要性に関連する問題ですね。
医療者のみならず、日本人全員が考えなければならないことです。

患者の声を届けよう―CNJがん医療セミナー(6月27日)から

6月27日、NPO法人CNJのがん医療セミナー「もっと知ってほしい代替医療の科学的根拠のこと」に参加しました。
BEC(乳がん体験者コーディネーター)やCIN(がん情報ナビゲーター)の活動報告の後、「もっと知ってほしい代替医療の科学的根拠のこと」という特別講演で、代替医療の中でも「健康食品」を中心にしたお話でした。

埼玉医科大学国際医療センターの大野智氏の講演は、「代替医療についてわかっていることはほとんどない」ということを改めて確認することができました。

続いて行われたパネルディスカッションでは、代替医療をしているという患者さんから相談を受けた時、どのように答えるのかという話がありました。
その時「なるほど!」と思ったことがあります。それは……
「一定の間隔をあけて、確認してあげる」ということ。
「代替医療をしていて、調子はよくなりましたか?」「がんの大きさなどは、どうですか」

患者が代替医療を選ぶ理由に「不安」があります。
「不安」から始めた代替医療は、途中で止めることがなかなかできない。
たとえ、顕著な効果がなかったとしても「もう少し続ければ」とか「今やめると状態が悪くなるかもしれない」という「止めることへの不安な気持ち」が、代替医療から離れられなくなっていることもあるのではないでしょうか。
「不安」の連鎖により続けてしまう代替医療(健康食品)には、高額なものがあり、経済的負担になっていることもあります。
でも「不安の連鎖」から抜け出せない……という時、第三者による「不安の連鎖」を見直す機会を与えられることは、とても大切なことだと思いました。

会場からの「患者の不安を取り除くような医療が必要ではないか」という事は、この講演を聞きながら私も感じていたこと。
MDアンダーソンがんセンターの上野直人氏からは、「現在の日本の医療環境は、アメリカから見ると40年くらいの差がある」「アメリカも40年かけて、患者中心の医療といえるものを作ってきた」「日本もこれから……。そのためには、患者が受けたい医療が何であるかを、医療者へ社会へ届けなければならない」

そして、患者や市民が声をあげることにより政治が動いた例として、子宮頸がんワクチンの話も出ました。
患者中心の医療と言いながら、そして「患者様」「○○様」と呼ばれても、患者としての満足度があがらない日本の医療―患者は、「様」と呼んで欲しいのではないこと、患者が真に必要としている医療とは
それは、患者でないとわからない。

患者の声を医療者へ、そして、社会へ届けるため、私たち患者も考え、行動しなければならないのだろう。

2010年6月25日金曜日

日本緩和医療学会で聞いた「モルヒネ」

がんの疼痛管理のための「モルヒネ」
そして
呼吸器不全への「モルヒネ」処方

6月18~19日に行われた
日本緩和医療学会で聞いた
モルヒネに関する話。

悪性疾患
非悪性疾患
のどちらの話でも
「モルヒネ」を適正に使うことが大切
ということを言われていた。

日本人は
「モルヒネ」には
「麻薬」という悪いイメージが
つきまとっているらしい。
そのせいかどうか
日本の医療におけるモルヒネの量は
諸外国に比べて少ないのだそうだ。

どんな病の患者でも
痛みが伴うものであるならば
その痛みが、薬で取り除けるのならば
その痛みがなくなることで
日常生活を保つことができるならば
精神状態を保つことができるならば
取り除いてほしいものだ。

2010年6月23日水曜日

第15回日本緩和医療学会―2日目シンポジウム「非悪性疾患の緩和ケア」から

緩和ケアといえば「がん」というイメージが強い。
が、神経難病の患者家族として、そして看取りの経験から「がんばかりに緩 和ケアが必要なわけではない」とず~っと思っていた。
だから、このシンポジウムは、とても楽しみにしていた。
お話を聴きながら、大きく頷くことが多かった。

例えば
「高齢者は、いつからが終末期なのか」

「高齢者の緩和ケアは
認知症と診断された時点
や要介護と認定された時点など
早い段階から」
ということは、医療者ではない一市民が
生活の中で実感している事だ。
今後、誰もが終末期の緩和ケアを受けることができる仕組みが
できることを期待したい。

では、シンポジウムから大きく頷いた話をいくつか紹介しよう。

まずは、超高齢社会に突入している日本の現状

我が国の年間死亡者数
75歳以上の後期高齢者の死亡者数が伸びている
後期高齢者になってから死亡する人が増えている。
高齢者の終末期っていつから?
ご飯が食べられなくなったら……?
寝たきりに
意識がなくなった
尿がでなくなった
日本老年医学会・立場表明としての定義
「病状が不可逆的かつ進行性で
その時代に可能な最善の治療により
病状の好転や進行の阻止が期待できなくな り
近い将来の死が不可避となった状態」

この定義は「あいまい」だが
非悪性疾患の高齢者の終末期には、次のような難しい問題があるのだという。

予後の予測が難しい
延命治療を選択するか否かにより予後が異なる
急変や突然死がある一方で、終末期と診断した高齢者の1割は回復
終末期医療に関しては「本人の意思決定」が基本とは言うものの
病気によっては、自分で決定できなくなっていることもある。
また、日本社会には
本人の意思決定も大切だけれども、家族の気持ちも大切
という考え方もあることから
「本人の意思決定による終末期医療」は難しいのだそうだ。

以前、厚労省の調査で、延命治療について
家族の延命治療について「望む」と答えた人が
自分の延命治療について「望む」と答えた人よりも多い
という調査結果があったが
そのことからも、家族の一日でも長く生きていてほしいという願いにより
もしかしたら、本人が望まない治療を受けているということがあるかもしれない。

今後の課題
看取りや死の教育の必要性
終末期ケアについての認識がまだまだ不充分
介護者に対するサポート体制の必要性
多大な介護力の確保―医療チームや地域連携

これらの課題については、がんにおける緩和ケアや医療でも常に出てくる話だ。
この発表の中
「終末期ケアに関しては、がんも非がんもないのではないか」というものがあった。
確かにそう思う。

また、延命治療の選択について
選択することができ
選択した治療を中止することもできる
という事についても、考えていく必要があるだろう。
このシンポジウムでも
人工呼吸器をつけることよりも
外すことの方が難しい……
という話もあった。

本人の意思決定による終末期医療
本人の意思は、常に変化する

経管栄養についても、ゆるやかな安楽死なのか
延命治療なのか
しかし、栄養を入れないと確実に死亡するのだから
やはり延命治療と考えるべきではないか

203X年まで、増え続ける死亡者数。
終末期の緩和ケアは
「尊厳死」にもつながる大切な医療であることを
社会全体で考えていかねばならないだろう。

2010年6月22日火曜日

「ありがとう」を伝えよう

今日、同じ病の方とおしゃべりをした。
3月に「がん医療の夢を語る―ドリーム・チーム」のキックオフフォーラムで、お隣に座っていた方。
マイドリームの写真を取り合って、少しの間おしゃべり。同じ病だとわかった。

今日は、病のことを一杯おしゃべ りした。
おしゃべりするうち、彼女が小さな手作りのカードを手渡した。
そのカードを見て、日本緩和医療学会で患者として気づいたこと(6月20日のブログ記事参照)がある、という事を話した。

「医療者へ、き ちんとありがとうって言いたい。でも、ちょっとてれくさかったりする。……サンクスカードのようなものができないかなって考えている」

彼女はこのカードを、主治医らに手渡しているのだという。

彼女が作っているホームページ「紙工作 雅」で、手作りカード用のpdfがダウンロードでき る。
それを、中厚紙にプリントアウトして、色をぬって・切って・貼って、言葉を添えて……
次の診察日には、主治医にそっと手渡そうと思う。

「紙工作 雅」ホームページ

2010年6月20日日曜日

日本緩和医療学会学術大会、シンポジウムでの気づき

日本緩和医療学会に参加して、患者として一市民としての気づき

6月18日午後にあった「遺族による緩和ケアの質の評価―J-HOPE研究から見えてくるもの」というシンポジウム。
緩和ケア病棟からご遺族へ「グリーフカード」というものを送付しているという話をされている時のこと。
ふと、3年前の父の看取りのことを思い出した。
父の最期は、病院の一室だった。がんではないので、緩和ケア病棟ではなく、療養病棟。
その時に、家族の誰1人間に合うことなく、主治医と看護師に看取られ、看護師は車で移動中の私へ死亡時刻を電話してくれた。
父の病室に行くと、いつも通りの寝顔でベッドに横たわっていた。
ちょっとゆすってみた。すでに体は冷たかった。
でも、私の心は少しほっとしていた。父が、あんなに嫌がった胃ろうのチューブも、酸素マスクもしていなかったからだ。
そして、お葬式が終わって落ち着いた頃、その請求書が届けられた。

その事に、文句があるわけではない。
当然支払わなければならない医療費だし、請求書が来るのは当たり前のことだ。というか、請求書が来ないと、こちらも困る。

でも、その前に「グリーフカード」というものが届けられていたとしたら、どうだっただろう。
そしてそこに一言、生前の父の病院での様子が、書かれていたとしたら……
ちょっとしたことでいい。病室でのこと、最期の時のこと、何でもいい。一言添えてあったなら、しみじみとうれしかっただろうな……

と思い出に浸っている私の耳に、「でも、ご遺族の方がグリーフカードをどのように思っていらっしゃるのか……」という声が聞こえてきた。
私は、はっとした。

私たち患者や市民は、医療者の心遣いに「ありがとう」ときちんと伝えているだろうか。
要望ばかりを声高に叫んでいないだろうか。

医療者と患者のコミュニケーションには、患者ももっと積極的に関わる必要があるのかもしれない。



2010年6月18日金曜日

第15回日本緩和医療学会学術大会

2010年6月18~19日開催の日本緩和医療学会に、NPO法人キャンサーネットジャパンの「学会へいこう」というプログラムで参加。
「学会に参加なんておこがましい」と思いつつ、興味津々でセミナーを聞いているうちに、一市民として、一患者としての気づきもありました。
明日は、9時30分からぜひ聞きたいセミナーがあります。
早起きして、ワンコの散歩や雑用を片づけて、行かねば!

学会参加の様子は、後日お話します。

2010年6月16日水曜日

センチネルリンパ節生検での腋下郭清省略―第46回米国腫瘍臨床学会

日経メディカルオンライン・癌エキスパート 2010年6月11日の記事

「センチネルリンパ節生検により腋下郭清を省略しても、長期予後は変わらず、陰性の場合の腋下リンパ節郭清の実施は利益をもたらさないという有益なエビデンスが提供された」

ふ~ん。
今更ながら、よかったと安堵する。

でも、すでにこれって標準治療になってるのに……
と思って、もう一度よく記事を読み返してみると
なるほど
長期予後については、明らかになっていなかった
ということらしい。

臨床的にリンパ節転移がない乳がん患者が対象で
センチネルリンパ節生検の結果に関わらず、リンパ節郭清した群と
センチネルリンパ節陰性でリンパ節郭清を省略した群を分析したところ
生存率や無病生存率に差がなかった

……ああ、しかしこの生存率や無病生存率ってのが
患者にとっては、非常に悩ましい数字。

生存率95%とか90%とかを見ると
ついつい、5%や10%のことを考えてしまう……

いやいや、だめだめ。
今、私はちゃんと標準治療を受けている。
そんな否定的な考え方をしては、いけない。
術後1年も経過した。
ホルモン療法も、きちんと受けている。
そんなネガティブな数字を気にするよりも
毎日飲まなければならない薬を
飲み忘れないようにすることが大切なのだ!!

転移性乳がんの治療について―第46回米国臨床腫瘍学会

日経メディカルオンライン・癌エキスパート2010年6月13日の記事によると

「乳がんの原発巣と再発巣のホルモン受容体の状態が、30%の患者で異なることが明らかになった。」

なので

「転移性乳がんの治療は、転移の疑いのある部位の生検が良い治療につながる。」

との事。

私の乳がん原発巣は、エストロゲン、プロゲステロンともに強陽性。
なので、再発・転移の時も、ホルモン療法が第一選択となる。
でも、これってほんまにええんやろか?
と、密かに思っていた。
なぜ、そのように思うかの根拠はない。
でも、なんとなく、患者としてのカン。

そもそも、再発や転移と診断された時、生検ってするんだろうか?
がん情報サービスの乳がんの説明にも
遠隔転移の検査として
胸部レントゲン撮影、肝臓のCTや超音波検査、骨のアイソトープ検査(骨シンチグラフィ)
などを行うとあるが
生検をするとは書いていない。

そもそも、肺や肝臓に出来たがんが
初発ではなく、転移だというのは
なぜわかるのだろうか?
乳がん患者だから、肺にできたら乳がんの転移?
それって、ほんま?
もしかしたら、それは転移ではなく、初発の肺がんって事はないのだろうか?

がんという病は、なんとも不可思議で、まったくもって侮れないと、つくづく思った。
医療者や研究者の皆様、がん撲滅の日まで
がんばって下さいと、心密かに応援を送る……

2010年6月15日火曜日

B型肝炎と化学療法

日経メディカルオンライン 6月15日の記事「B型肝炎と化学療法でウィルス再増殖」によると

HBs抗原陽性のHBV持続感染者(キャリア)に免疫抑制薬や抗癌剤を投与すると、HBVが急激に増殖し、劇 症肝炎を起こすケースが臨床現場で問題。

なのだそうだ。
何でも、HBVは一度罹ると一生潜在し、治療などがきっかけで再活性化するのだという。
化学療法後の副作用と診断されるケースも多いのだという。

実は私も,B型肝炎キャリア。
へぇ~、これはちゃんと覚えておかなければ。
そしてもし、化学療法が必要になったなら、ちゃんと主治医に報告しなければ。

このニュースを読んで、がんとの長い付き合いの中で
自分の体をきちんと把握すること
そして、いろいろな情報に触れて、病の知識を得ることの大切さを
改めて感じた。

2010年6月11日金曜日

新生国立がん研究センター

今までの国立がん研究センターは「ガン難民」を生みだしてきたという批判があったそうです。
なんでも、「これまで国立がんセンターは、難治や再発などの癌患者の受け入れを断って」いたそうです。
(2010.6.11 日経BPより)

へぇ~とびっくりしてしまいました。
そして、国立がん研究センターのホームページをみると「新生がん研究センターの新たな取り組み」というページがあり、新しい形のセカンドオピニオン外来:がん対話外来が7月1日から予約開始すると書いてあった。
患者さんを中心に、看護師やその患者さんのがんの専門科の医師が、患者さんの話に耳を傾け、対話しながらがんの悩みにこたえてくれるのだという。

患者としては、大いに期待したい取り組みだと思う。
日本中どこでもこのような患者中心の医療のための取り組みが広がっていくよう、ぜひともがんばって頂きたい。

折しも政治の世界では、管新内閣が動きだした。
どちらも、国民のため市民のための取り組みをすすめてもらいたいものだ。

2010年6月9日水曜日

日本対がん協会が、乳がん検診をプレゼント

日本対がん協会が、「乳がんをなくすほほえみ基金」を基に、乳がん検診無料券のプレゼントをしています。
対象は、40歳以上の女性。

ディノスのホームページで応募し抽選でもらえるそうです。
(応募締め切り、6月27日。ネット上で応募できます)

但し、受診できる機関が決まっているそうです(ディノスのホームページで確かめることができます)。

昨年の死亡者数で最も多かったのが「癌」。
女性は最多が「大腸」で1万9659人。以下は、「肺」1万8546人、「胃」1万7236人、 「乳房」1万1914人、「肝」1万1083人、「子宮」5523人 2010年06月07日 15:19 キャリアブレイン

早期発見・早期治療が、最大の予防とも言われるがんです。
40歳以上の女性で、まだマンモ検診を受けたことがない方や、ご家族にそのような方がいらっしゃる方、応募してみてはいかがでしょうか。


2010年6月8日火曜日

西洋医学と東洋医学で患者を支える

2010.6.7日経web版
「漢方薬の有効性を、西洋医学に基づいて検証した漢方薬のエビデンスが、300を超える」

この記事を読んで、思い出した事があります。
それは、「“ツボ”にはエビデンスがある」という事 「へぇ~・へぇ~」と聞いたこと。

さっそくネッ ト検索してみると、鍼灸医療研究会というところが出している「鍼灸ニュースレター」に、以下のように書かれていました。
身体をひとつの小宇宙としてとらえ、そのバランスが崩れたときに「病」が 発症するという鍼灸の考え方が、世界中で注目され、メカニズムの研究や診療研究も各国で進められ。長期にわたる検討のすえ、ツボの一が世界で標準化さ れ……そして……WHO標準経穴部位英文公式版が、20085月に発刊。

鍼灸治療は、抗がん剤のしびれなどの症状や、西洋医学で緩和できない痛みに効果があると言われています。
以下のサイトに、鍼灸とがんについて詳しく書かれています。

がんサポート情報センター 「痛 み緩和 国立がんセンター緩和ケア科の鍼灸治療」


がんの代替療法の科学的検証と臨床応用に関する情報


全日本鍼灸学会の認定者一覧


西洋医学でも東洋医学でも、患者にとって有効な治療は、どんどん取り入れられるようになってほしいですね。






2010年6月6日日曜日

がん医療と死生観

All Aboutの「がん」サイト、5月30日付の記事

「自分の死生観を明らかにし、同じ死生観を持った医療人とのコラボレーションが満足行く医療には欠かせない」

という記事が載っている。

がん医療における、新たな治療法や薬の開発はめざましく、余命も伸びている。
ただ、余命ばかりではなく、QOLにも注目する必要があるだろう。
今は、QOLを保ち、日常生活を送りながらがんと共存している人も多い。
しかし、いつか終末期といわれる時期がくる。
その時、どのような医療を受けたいのかを、しっかりと考えておく事も大切だろう。
そして、その事について家族とも、十分話し合っておくことも必要かもしれない。

平成20年の厚労省の、延命治療についての調査では
自分の延命治療を望む人の割合よりも、家族の延命治療を望むという人の割合の方が多かった。

家族には一日でも長く生きていてほしい……という気持ちの現れなのか
または
家族と言えども他人の命を考えることは難しい……という気持ちの現れなのか。

人それぞれに違う死生観。
それぞれに違うからこそ
その死生観を静かに受け入れることも
時には、必要なのかもしれない。

2010年5月30日日曜日

がん免疫療法

がん免疫療法は、手術・放射線・化学療法につぐ第4の治療法として注目されています。

米国では、がん免疫療法の大規模臨床試験の結果が報告されるようになり、医薬品として承認されるようにもなってきているそうです。
承認された初の癌治療ワクチンは、転移性前立腺癌患者を対象にしたものです。
海外癌情報リファレンス、NCIキャンサーブレティン 2010年5月4日号

我が国では、久留米大学が開発したがんペプチドワクチンが2010年5月18日に開催された先進医療専門家会議で高度医療に前立腺癌を適応症として承認されました。国内外における未承認医薬品が承認された全国初のケース(久留米大学ホームページより)ということです。

いよいよ日本でも、がんの新しい治療法として免疫療法が承認される時代となったかと思っていたところ、そうでもなさそうです。BTJ(Biotechnology Japan)の5月28日付けメールマガジンには、次のような記事がありました。

厚労省の高度医療評価会議で審議されたがん免疫療法。結論は次回へ持ち越し。
というのです。
話し合いの中「このような治療法を患者に提供したいとは思わない」「がん免疫療法を高度医療として認めてしまうと、国がお墨付きを与えたといって患者に売り込む業者が出てくる」などという意見も聞かれたか。
この記事の最後には「日本で、がん免疫療法が市民権を得るには、まだ時間がかかりそうだ」と書いてありました。

「このような治療法を患者に提供したいと思わない」という言葉には、ワラをもすがる思いの患者や家族の気持ちをどのように受けとめているのか、疑問を呈しないわけにはいきません。
医療者として、科学者として何を根拠に提供したいと思わないのでしょうか。
患者の事を思うなら、アメリカのように、がん免疫療法を正当に評価するための新しいガイドラインを作るなど、新たな治療法への新たなアプローチも考えてほしいと思います。

また、患者に売り込む業者を心配するならば、いかにして、正しい知識や情報を市民に届けるかということを、もっと考えて実行してほしいと思います。
アメリカで、がん情報をネット検索すると、信頼できるサイトがトップに出てくるといいます。
日本では、どうでしょうか。
ちなみに「がん 免疫療法」で検索してみたら、トップはスポンサーサイト。次に出てくるのは、実際に免疫療法を行っているクリニック。国立がんセンターの「がん情報サービス」は20番目。二頁目の一番最後でした。
スポンサーサイトやクリニックなどの情報が、すべて信頼できないというわけではありませんが、不安を抱えてネット検索する患者や家族には、まずは最も信頼できるサイトが目に飛び込んでくるようにしてほしいものです。

2010年5月27日木曜日

キャンサーネットジャパン がん情報ビデオライブラリ

「新しくて、正しい情報」満載の
NPO法人キャンサーネットジャパンの
ビデオライブラリからのご紹介。

2009年11月22日 もっと知ってほしい乳がんのこと
再建(自家組織)
再建(穿通枝皮弁)
再建(インプラント)
病理のお話
外科手術最新情報
薬物療法の最新情報
今後期待される乳癌治療(放射線治療の役割)

病理のお話では、病理学の立場からセカンドオピニオンの必要性が語られています。
また、美しい再建のための乳腺外科医と形成外科医のチーム医療の大切さなどもわかります。

キャンサーネットジャパン もっと知ってほしい乳がんのこと

キャンサーネットジャパン がん情報ビデオライブラリより―再発・転移乳がん

「もっと知ってほしい乳がんの再発・転移のこと」(2010.4.17)

がん患者にとって「再発」「転移」は大きな不安。
今回の「もっと知ってほしい」シリーズは、乳がんの再発・転移の、ホルモン療法や抗がん剤、そして、分指標的薬のお話など盛りだくさん。

よく乳がんは、再発・転移したら根治は無理ということを聞きます。
けれども、ハーセプチンの登場により完治例が報告されることもあったり、分子標的薬などの新たな薬の登場で、確実に生存期間は伸びているといいます。

けれども、新しい薬は高価なもの。現実問題として、診察室で薬の効果や副作用の話とともに、その薬代についても話さなければならないこともあるとか。

私はこのお話を聞いて、高い薬価問題もさることながら、医療者が診察室で一人で、患者さんの治療の話や経済問題、そして、時にはメンタルケアまでもしている様子を想像してしまいました。
メンタルケアに関しても、精神腫瘍科があるということですが、日本全国津々浦々の病院に精神腫瘍科の医師がいるとなるまでは、まだまだ年数がかかることでしょう。

いずれにしても、チーム医療の必要性と、これらの患者支援の必要性を行政も国民も理解して、診療報酬で賄うことができるようになることが望まれます。

そして、この講演でも触れられていますが、高い薬価問題については、保険制度の中でどのように考えるのかということを、医療者と患者・国民が一緒に考える段階に来ているようです。

キャンサーネットジャパン がん情報ビデオライブラリ

2010年5月23日日曜日

高額ながん医療費「金の切れ目が、命の切れ目」

がんの医療は、めざましい発展をしている。
化学療法の新薬も、次々に出てくることだろう。
でも、それと比例して高額になる治療費の問題。

毎日新聞では「命を削る:高額医療の断面」という記事を連載。
そして、5 月20日読者からの反響の記事が掲載された。

その中に
この値段は、患者に「いつまで服用を続けられるか?」と緊張を強要
というものがある。


また、2010年5月18日付朝日新聞朝刊にも
同じように高額ながん医療費の記事があった。

その中に、NPO法人日本医療政策機構が、昨年末行ったアンケートに、
治療費の負担が「大きい・やや大きい」と回答した人が71%
経済的負担を理由に、治療を断念したり変更した人が13%
という結果だという。

まさしく「金の切れ目が、命の切れ目」という事になるのだろうか。

化学療法を受ける、メリットとデメリットを天秤にかけ
患者にとってメリットが大きい薬ならば
心起きなくで、その治療を続けたい
というのが、患者の切なる願い。
だが、朝日新聞の記事では
家族にすまないという患者の思いが語られている。

そんな時、海外から
英国のスーパーで、高額ながん治療薬が原価販売
というニュース
が飛び込んできた。
この問題に、一石を投じることになるのだろうか……。

朝日新聞の記事によると
厚労省は、高額療養費の自己負担限度額の見直しへの検討を始める
とか。

ぜひ、患者目線の改革を、お願いしたいものだ。
あの悪評高かった「後期高齢者」の時のようにならないようにと
願うばかりだ。

ちなみに、私まんまるじぞうは
あの悪評高かった「後期高齢者医療保険制度」だが
75歳以上にそれまでとは異なる医療体制で望む事に関しては
「なかなか、いい制度」と思っていた。
というのも、父が言っていた事がある。
「高齢になった自分たちには、体のあらゆる所に不具合が出てくる。
それを、総合的に看てくれる医師がほしい。」
そんな父をみているかぎり、やはり75歳というのは
健康上、なんらかのターニングポイントではなかったかと思う。
しかしながら
いかんせん「医療費削減」が表に出過ぎたのか
「後期高齢者」という名前が悪かったのか
制度が始まったとたんに、喧々囂々なのは、ご存知の通り。
高額療養費の見直しも、その二の舞にならないようにしてほしい。

2010年5月19日水曜日

船橋がんサロン“ここにおいでよ”の管理人ブログへようこそ

はじめまして。
船橋がんサロン“ここにおいでよ”の管理人
まんまるじぞうです。

がん情報や日常生活の独り言を
綴っていきたいと思っています。

よろしくお願いします。