2010年5月30日日曜日

がん免疫療法

がん免疫療法は、手術・放射線・化学療法につぐ第4の治療法として注目されています。

米国では、がん免疫療法の大規模臨床試験の結果が報告されるようになり、医薬品として承認されるようにもなってきているそうです。
承認された初の癌治療ワクチンは、転移性前立腺癌患者を対象にしたものです。
海外癌情報リファレンス、NCIキャンサーブレティン 2010年5月4日号

我が国では、久留米大学が開発したがんペプチドワクチンが2010年5月18日に開催された先進医療専門家会議で高度医療に前立腺癌を適応症として承認されました。国内外における未承認医薬品が承認された全国初のケース(久留米大学ホームページより)ということです。

いよいよ日本でも、がんの新しい治療法として免疫療法が承認される時代となったかと思っていたところ、そうでもなさそうです。BTJ(Biotechnology Japan)の5月28日付けメールマガジンには、次のような記事がありました。

厚労省の高度医療評価会議で審議されたがん免疫療法。結論は次回へ持ち越し。
というのです。
話し合いの中「このような治療法を患者に提供したいとは思わない」「がん免疫療法を高度医療として認めてしまうと、国がお墨付きを与えたといって患者に売り込む業者が出てくる」などという意見も聞かれたか。
この記事の最後には「日本で、がん免疫療法が市民権を得るには、まだ時間がかかりそうだ」と書いてありました。

「このような治療法を患者に提供したいと思わない」という言葉には、ワラをもすがる思いの患者や家族の気持ちをどのように受けとめているのか、疑問を呈しないわけにはいきません。
医療者として、科学者として何を根拠に提供したいと思わないのでしょうか。
患者の事を思うなら、アメリカのように、がん免疫療法を正当に評価するための新しいガイドラインを作るなど、新たな治療法への新たなアプローチも考えてほしいと思います。

また、患者に売り込む業者を心配するならば、いかにして、正しい知識や情報を市民に届けるかということを、もっと考えて実行してほしいと思います。
アメリカで、がん情報をネット検索すると、信頼できるサイトがトップに出てくるといいます。
日本では、どうでしょうか。
ちなみに「がん 免疫療法」で検索してみたら、トップはスポンサーサイト。次に出てくるのは、実際に免疫療法を行っているクリニック。国立がんセンターの「がん情報サービス」は20番目。二頁目の一番最後でした。
スポンサーサイトやクリニックなどの情報が、すべて信頼できないというわけではありませんが、不安を抱えてネット検索する患者や家族には、まずは最も信頼できるサイトが目に飛び込んでくるようにしてほしいものです。

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