2010年9月25日土曜日

患者アドボカシー

9月23日、ジャパン・ウェルネス主催の
患者アドボカシーについての講演を聞きに行きました。

患者アドボカシーを正確に日本語に訳すのは、難しいとのことですが
「患者の権利を主張し、その権利の行使を支援する」
とでも言えばいいのでしょうか。

この講演で、患者アドボカシーの段階という話がありました。

患者アドボカシーの第一ステップ
自分にとって
家族や大切な人にとって
最高の医療を受けるために
患者が出来ること・しなければならないこと
家族や周囲の人が出来ること、しなければならないこと
まずは、その事から始まる。
患者や家族が、病に主体的に関わる努力をする責任がある

第二ステップ
患者や家族が、どのようなケアを必要としているかを
病院や地域に訴えること

第三ステップ
それらを医療政策として訴えること

とまあ、こういう具合だそうです。

また、この講演で紹介された
アメリカ政府の報告書
「Cancer care for the WHOLE PATIENT」には
患者は、生物学的ケアのみではなく
心理的ケアも必要としている。
がん治療における心理社会的サービスの提供に関する
医学的根拠は、十分に認知されている。
と書かれているとか。

講演者の一人は、この冊子を
「バイブル」といい
もう一人は
「地図」と表現しました。

患者自身や、患者を支える人達が
バイブルとも地図とも呼べる
このような報告書の存在は
まさしく「社会全体で支える」ことの証明とも言えます。

また、講演者は次の事も繰り返し言っていました。

「患者は、体験者と話すことを必要としている。
そしてそのことが有効であるというエビデンスがある。」

今年の5月から始めたがんサロンでは
体験者同士、話し合える場があることが必要なんだ
ということを実感しています。
全国には、今、様々なサロンが出来ています。

ただ、日本社会全体を見渡すと
まだまだその必要性が認識されていないのが実状ではないかとも思います。

地域や病院がその必要性を認識するまでには
まだまだ、地道な努力とねばり強さが必要なのでしょうね。

病院内のがんサロンを立ち上げた患者さんのお話では
「院内にがんサロンを作りたい」と病院へ訴えかけてから
実際にできるまでに、2年かかったということでした。
講演後、その方にお話を伺うと
「その2年の間、時には涙したこともあった」とのことでした。

2010年9月16日木曜日

親のがんを子どもにどう伝えるか

世話人の本村さんの「第四回・がんサロン活動報告」に、次のような事が書かれていました。

「親のがんを、子どもにどのように伝えますか」
「高齢の親の、がんの告知をどのように考えますか」

親ががんであることを、子どもにどう伝えるか

私の子どもは既に二十歳を超えていたので、躊躇することなく子どもには本当の事を話しました。二人の子どもたちの受け止め方はそれぞれでしたが、それ相応のショックはあったようです。でも、その事に気づいたのは、私自身手術を終え、落ち着いた頃でした。

それは、術後一ヶ月くらいたった頃でしょうか。私が愛犬とじゃれているとき二男がぽつりと「お母さん、元気じゃん」と、ポツリと言ったこと。
そして、長男と話している時に感じた「結構、乳がんの事勉強したんだな」と思わせる一言です。
改めて、二人に心配かけたんだなと実感するとともに、もう少し伝え方を考えるべきだったかなと反省しました。
人間ドックでしこりを指摘され、次の日に精密検査を受けてと慌ただしいなか、家族の気持ちを考える余裕がなかったんだと思います。

そして、この問題がとても深刻なものであると気づいたのが、NPO法人キャンサーネットジャパンの乳がん体験者コーディネーターの講座を受けている時に「子どもに自分の病気の事を言う時に、躊躇した」と聞かされた時でした。

親が子どもに、自分のがんをどう伝えるか。
これは、子どもの年齢に関わらず、大切な問題です。

また、高齢の親のがんをどのように本人に告知するか、もまた難しい問題であるようです。
今病院では、インフォームドコンセントという事で、病について詳しい説明をしますが、高齢者にとって、その話が本当に理解できているかどうか。高齢者に理解できるように説明されているかどうかは、はなはだ疑問に感じることがあります。

いずれにしても、このような問題があるという事を、日本社会全体が認識すること、がまずは大切です。

がんになった親を持つお子さんをサポートするHopeTreeが行った医療者へのアンケートでは、問題意識はあるものの、日本の医療機関においてこの問題に取り組む環境が、まだまだ出来ていない実体が浮き彫りにされました。
そのアンケートの考察の最後には、「医療者自身がこの問題に対する知識や方法を学ぶことが支援への第一歩」とあります。

この第一歩が次の一歩へとつながり、患者を支えるシステムが構築されるように期待したいと思います。

2010年9月10日金曜日

「がん」にまつわるコンテスト

がんにまつわるコンテストのお知らせです。
まずは、厚労省から

「平成22年度がん検診50%達成に向けた体験談コンテスト」
~ がん検診 愛する家族への 贈りもの ~

がん検診による「早期発見」
その「早期発見」で救える命がある
その命は、自分だけのものではない……
というテーマに添った「がん体験」を400文字にまとめて応募。
締め切りは、9月24日(金)当日必着

次にご紹介するのは
日本イーライリリー株式会社主催の
がんと生きる 私の物語


絵画や写真に、エッセイを添えて応募します。
あなたの体験が、同じ体験を持つ人々への勇気となることでしょう!
というプログラムです。

この「リリー・オンコロジー・オン・キャンパス」は
米国イーライリリーとNCCS(全米がん経験者連合)によって
2004年から実施されているそうです。

日本では、(財)日本対がん協会の後援となっています。

こちらの締め切りは
2011年1月31日(月)必着。


詳しくは、それぞれのホームページをご覧下さい。

2010年9月8日水曜日

がん治療に伴う脱毛ケア

化学療法や放射線治療での脱毛への
不安や辛さには
女性も男性もないのです。

男性だって
髪の毛が抜けるのは辛いもの。
まして
眉毛や髭も抜けていく……
自分が自分でなくなっていくような
不安にかられることでしょう。

たかが外見
治療が第一、命が第一

それは、そうかもしれないけれど
人として生きていくためには
“自分”であることが大切ではないでしょうか。

がんの治療中だって
自分を自分らしく表現することは
生きる力にもなるはずです。

大鵬薬品提供のホームページ
「サバイバーシップ―がんと向き合って」の
「抗がん剤、放射線治療中の脱毛ケア」には
脱毛のこと、かつらのことや
バンダナの巻き方などの動画があります。
また、眉毛やまつげ、鼻毛が抜けることに伴う
生活上の注意(サングラスやマスクの必要性)なども
書かれています。
(静岡がんセンター発行の冊子をもとに
つくられたそうです)

私は、このホームページを読んで
男性の脱毛ケアの大切さに
気づくことができました。

2010年9月3日金曜日

乳がん体験者100人のゴスペル参加のお誘い

乳がん体験者が歌うゴスペルのご紹介と参加のお誘いです。

Just Stand Up!―勇気をもって踏み出そう―を合い言葉に
「ブレストキャンサーサバイバーズコーラス隊」は
乳がん体験者100名でゴスペルを歌います。

12月3日(金)タワーホール船堀で行われる
「亀渕友香&VOJA」のゴスペルコンサートの中
乳がん体験者のコーラス隊が2曲を歌います。

そのうち一曲は「Just Stand Up!」という曲です。
2008年9月5日、アメリカ3大ネットワークで同時放送された
がん撲滅のためのチャリティ番組「Stand Up to Cancer」で
歌われたチャリティソング。詳しくは→こちら

このコーラス隊に、私も参加します。
「あなた自身で気づくの……とにかく立ち上がりましょう」
という歌詞が、多くの人に伝わればいいなと思っています。

参加費は、15000円です。
参加費の中には、当日のコンサート代も含まれています。
興味を持たれた方は、今すぐクリック


このコンサートのチケットは、9月12日から
タワーホール船堀で発売されます。

コーラス隊として参加する方
当日のコンサートに来て下さる方
多くの方との出会いがあることを願っています。

乳がん治療の選択肢―乳房再建

乳がんと告知されてから一ヶ月で
あれよ・あれよという間に
手術を受けた。
「がん」と聞いたからには
とっとと手術しておいた方がよい……
その時は、それがとても安心できることのように思えた。

が、今もしあなたが乳がんを告知されたとしたなら
その場で少し深呼吸しては……とアドバイスしたいと思う。

なぜなら
乳がんは進行が遅いものが多い。慌てる必要はない。
(ここのところは、しっかり主治医に確認。
 同じ乳がんといっても、それぞれに違うものだから)
まずは自分のことを振り替えってほしい。
今の生活や趣味・嗜好。
何を大切にし、今後どのように生きていきたいのか。
自分にとって、一番大切なものは何か。

自分にとって一番大切なものは命。
でも女性の場合、乳房が大切という人もあるだろう。
その気持ちは、大切にしてほしいと思う。

また、乳房よりも命、と思っている女性でも
温存手術で、どれくらい変形するのか
を主治医に聞いて、今一度、ゆっくりと考えてほしいと思う。
全摘と言われたならば、再建を視野に入れ
自分が納得できる再建をしてくれる医師を見つける努力をしてほしい。
乳腺外科医は、再建の専門家ではない。
乳房再建は、形成外科の領域だ。

このような事を書くきっかけは、8月に行った講演会。
それは、東京のナグモクリニック主催の「乳房再建サポーター養成講座(総括)」
テレビでもおなじみの南雲先生のお話は、とてもわかりやすかった。
そして、亀田総合病院の福間先生のお話では
「オンコプラスティックサージェリー(oncoplastic breast surgery、乳房腫瘍形成外科)」
という言葉を聞いた。
お二人の先生の話を聞きながら
告知から手術までの間に
乳房再建とか、美しい乳房を残す
などという話を聞いた事もなければ
考えた事もなかったなぁ~と
一年半前の自分を思い出していた。

そして、治療の初期からのチーム医療で
乳腺外科医のみでなく
乳房再建について相談できる形成外科医や
乳房そのものについてどのように思うかをじっくり相談できることが
できればなぁ~と思った。

そんな事を、講演後の自己紹介で言ったら
南雲先生が「それを医療者に求めても駄目」
「体験者として、是非、声を上げて下さい」
というコメントをもらった。

機会があれば、この事を多くの人に伝えたいと思う。
乳がんと告知された人は、もちろんだが
全ての女性に、伝えたいと思う。