2010年10月6日水曜日

免疫という言葉の危うさ

「免疫力を高める食事」
「笑いは免疫力を高めます」
免疫力は、体の防衛反応のようなもの
その力を高めると、感染などに強くなる
体を健康に保つことができる

一般的に「免疫力」は、このようなイメージで
語られることが多いのではないでしょうか。
そのため「がんの免疫療法」に対するイメージも
一般的に、良いイメージを持たれているように思います。

でも、がんの免疫療法は
臨床試験段階です。
ですから、エビデンスがあるものではありません。
なのに、一般的に何かよいイメージを持って語られることに
ある危うさを感じてしまいます。


このようなとてもイメージのよい「免疫」という言葉に
ある危うさが潜んでいるように思っていました。
そして、次に紹介する記事を見つけました。

チームオンコロジー.com
連載コラム―それぞれの立場から
vol.29「がん免疫療法は確立された治療法か」


そのコラムには

インターネットで「癌免疫療法」という言葉を検索しますと、数多くのサイトがヒットします。その多くが、スポンサーのサイトや免疫療法を行っていると言われるクリニックの情報です。がんの免疫療法の可能性はあるにしても、信頼できるエビデンスが多くない状況で、これほど多くのクリニックで免疫療法が提供されているのは、不思議な感じがしますし、問題になることも多いかもしれません。

免疫療法を受けたいという希望がある方は、適切な臨床試験で証明されていない免疫療法を提供しているクリニックや、がん細胞数(病期)に関係なく効果がある、治癒するなどの誇大広告をしているクリニックではなく、臨床研究(試験)を行っている施設や、高度医療と承認された免疫療法を提供している施設で、ご相談の上、免疫療法を受けるかどうかを決めることをお勧めします。

と書かれています。

高度先進医療を行っている施設は、厚労省のサイトで確認できます。


また、がん免疫療法で検索したところ、次のような文章を見つけました。
そこには、「免疫療法の問題点」として
末期になってから免疫療法が試みられることが多いが
それでは、本当の効果はわからない。
早期から積極的に使われるようになれば、もっと良い評価が得られるのではないか
というものです。

でも、この考え方には問題があるように思います。
ある新しい治療が、有効かどうか、安全かどうか
それは、綿密に計算された臨床試験や治験を繰り返し
多くのデータを集めて
初めて評価されるものなのです。

先程、紹介した文章では
「とにかく、この治療法は効果がある。
でも、未だ評価されないのは
積極的に利用されていないからだ」
という事だと思うのですが
効果がある証明、すなわち、エビデンスが確立されていない治療を
積極的に行うという危険性が、考慮されていないように思います。
エビデンスはないけれど
まずは、使って効果を確かめよう
という事なのでしょうか。

治療(医療行為)は、命にかかわる行為
という事を
医療者はもちろんのこと
私たち患者も今一度、心に刻む必要があるように思います。

がん免疫療法について、がん情報サービスに詳しく解説されています。

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