2010年10月13日水曜日

高額療養費について

高額療養費制度とは、高額な療養費を支払った時に健康保険組合から一定限度額以上分の支払い額が帰ってくるありがたい制度……と思っていました。
でも、結構ややこしいのです。
差額ベッド代や食事療養費などが自己負担の対象にならない、というのは納得できます。
しかし
一ヶ月とは1日から末日までのこと
自己負担額はレセプトごとに計算されること
通院時と入院時に支払った費用も別々に限度額をこえていること
などは、ちょっと分かりづらいですね。

何せ、乳がんと告知されるまで
いたって健康で、医者嫌いの私は
病院とは縁なく、まして、高額療養費制度など
ちょっと聞きかじっていた程度。

で、告知され、入院・手術・放射線治療と過ぎていくなか
聞きかじった高額療養費制度の皮算用。
ところが、実際かえってきた金額は、私の皮算用よりは少な目。
そこでようやく、先に述べたような
高額療養費制度のややこしい事情を知ったのでした。

高額療養費制度のややこしさも問題ですが
今、問題にされているのが、その財源です。
医療が進歩し、新たな治療法や薬が患者に恩恵をもたらすようになった反面
その医療費は、高額になっています。
そのような現状では、高額療養費制度はなくてはならないものとなっています。
ということは、財源が膨らむ一方、という事です。
厚労省の発表では、高額療養費の見直しに2600億円必要、とも言われています。
しかし、この2600億円という試算が、果たして正しいのか、という意見もあります。
厚労省も、「粗い試算」としています。

ちょっと話は変わりますが「グリペック」という薬をご存知でしょうか。
この薬は、慢性骨髄性白血病の特効薬と言われています。
この薬を飲むことで、普通の日常生活を送りながら、病と共存することができるのです。
けれども問題は、この薬が「高額」で「飲み続けなければならない」という事です。
患者負担は、高額療養費を利用しても一ヶ月10万円以上になるといいます。
この自己負担金を払い続けることが困難となり
「金の切れ目が命の切れ目」という問題が、現実に起こっているとの指摘もあります。

ある試算によると、このグリペックの売上げ額は464億円(2009年)とか
この試算を行ったグループによると、高額療養費の見直しに必要な財源は550億円としています。
厚労省の試算2600億円に比べ、5分の1程の金額になっています。

国民の命に関わる医療費の問題です。
厚労省は「粗い試算」などと言わず
この際「きちんとした(信頼できる)試算」を出して
国民に示してほしいと思います。

そして、私たち国民も
これら医療費問題について、真剣に議論しなければならないと思います。

私たち一人ひとりの命を守るために
何を公費で補い
何を自己責任とするのか
それは、難しい選択となるでしょう。
しかし、財源は空から降ってくる訳ではないのです。

参考にしたHPです。
gooニュース「自己負担限度額見直しの影響を試算」2010年9月8日

Infoseek・内憂外患「がん患者を経済危機から救え グリベッック」

キャリアブレイン「医療保険制度の根本見直しに向けた意見提出へ」2010年5月10日

キャリアブレイン「高額療養費制度の見直しを求め要望書提出」2010年5月21日

医療ガバナンス学会メールマガジン「高額療養費制度見直しに2600億円も必要ですか」2010年10月12日

高額療養費については、以下の厚労省のページをご覧下さい。
厚労省:高額療養費制度を利用される皆さまへ

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