シンポジウム「遺族による緩和ケアの質の評価―J-HOPE研究から見えてくるもの」
ホスピスと緩和ケア
ホスピスは、患者と家族に医学的・心理社会的そしてスピリチュアルなケアを追求する場として発展。
ホスピスで提供されるケアを「緩和ケア」と表現。
ホスピスのみならず、在宅サービスにおいても「緩和ケア」の概念が導入されてきました。
緩和ケアサービスの質について
質の保証がないと
患者や家族の受ける苦痛が増す
医療費の無駄使いもあり得る
という懸念があります。
また、サービスを提供している側の
「よいサービスをしている」という思い込み
や
個別の事例ですべてを評価することは医療者の職業倫理に反するのではないか
という観点からも、質の保証は大切です。
日本における緩和ケアサービスの質の評価は、全国ホスピス・緩和ケア病棟連絡協議会(現在のNPO法人日本ホスピス緩和ケア協会)が1998年6月に評価基準検討委員会を発足させたのが始まりです。
今回の発表は、2006年度から3年をかけて行われた「遺族によるほすぴす・緩和ケアの質の評価に関する研究」です。
今回は、このシンポジウムを聞いた、患者として市民としての感想を書きます。
患者の「迷惑をかけているのではないか」感
多くの患者が「家族に迷惑をかけているのではないか」や「自分には存在価値があるのだろうか」という負担感。
平成20年に行われた厚労省の調査でも、最期は病院や施設で過ごしたいと思っている人が、その理由として「家族に迷惑をかけたくないから」と答えています。
この調査では、患者の負担感軽減のためには「負担を感じさせないケア」や「してもらっていると感じさせない態度や言葉使い」「本人の自立を最大限いかしたケア」「本人のやる気を支える」ことが大切だとされました。
これは、家族が患者を支える時や介護する時にも言えること。
でも、もし自宅で最期を過ごすとなれば、24時間一緒にいる家族にとっても大きな負担。
そのためにも、家族や支える人をケアするためのシステムの充実が必要ですね。
予後の伝え方
患者より先に、家族に予後が伝えられることもあるとのことですが、そのことに関する家族の負担感は大きいようです。
予後をどのように伝えるか、誰が伝えるのか、誰に伝えるのか、どのような場所で伝えるのか
伝え方一つで、家族の理解度や負担感が大きく左右されるのではないでしょうか。
終末期における本人の意思の重要性については、この学会でも何度も耳にしましたが、終末期に本人の意思に添った治療が行われるためにも、この予後の伝え方は大切な問題だと思います。
食べられなくなった時
患者が食べられなくなった時、家族は「もうなにもしてあげられない」という無力感に陥るといいます。
終末期における脱水が必ずしも苦しくないことを伝えることが重要だとされました。
「食べられなくなった時」という問題は、がん患者のみならず高齢者の終末期においても大きな問題となっているのではないでしょうか。
そして、これまたこの大会で何度も聞いた「看取りの教育」の必要性に関連する問題ですね。
医療者のみならず、日本人全員が考えなければならないことです。
2010年6月28日月曜日
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