2010年10月8日金曜日

患者が治療を選ぶということ

「がんナビ」というサイトの「肝がんには2種類ある!」という記事を見て
思い出したことがあります。

この記事は
肝がんには、肝細胞のがんと肝臓以外の臓器で発生したがんが転移したものがあり
両者は、全く異なる性質を持ち、治療法も異なる。
この違いを理解して、適切な治療を……
という内容です。

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実は私も長年、この勘違いをしていました。
私の母は、30年前にがんで亡くなったのですが
ず~っと病名を「肝臓がん」だと思っていました。

自分が乳がんと診断され
遠隔転移について勉強して
ようやく、その間違いに気づきました。
母の病気は
「大腸がん」で「肝臓への遠隔転移」
なのでした。

また、ある時
知り合いに、乳がんについて色々話していた時に
この遠隔転移の話になり
「もし肝臓なんかに転移したとしても
肝臓がんではなくて、乳がんの遠隔転移だったら
乳がんと同じ治療なんだって」
と言うと、知人も「へぇ~っ」と、驚いていました。
その時「遠隔転移」の事って
多くの人が勘違いしているんだなと思いました。

がん治療においては、しばしば、その治療法の選択を迫られる時があります。
その時、まず自分の病を正しく理解している事が大切です。
そして、自分の人生観や価値観も問い直してみる必要があるでしょう。
そして、今の自分が一番大切にしたい事を考え
治療を選択していくのだと思います。
その時、標準治療であっても
その優先したい事のために、標準治療を選択しない場合もあるかもしれません。

乳がんでは、乳房を失いたくない……という理由から
手術ではない、切らない方法での治療を望む方もいらっしゃいます。

もしそれが、その方の人生の価値観で、ベストの選択なら
私は、まずはそれが尊重されてもよいと思っています。

ただ、大前提として
自分の病を正しく理解すること
は必要です。

私が、自分の病を正しく理解するため
非常に役だったものがあります。
それは、病理検査の時のメモです。
vol-netという乳がんのサイトで見つけた病理検査のチェックリスト
このチェックリストを印刷して主治医に見せると
主治医が、説明をしながら、記入して下さいました。

その時は、説明を受けながら、内容も十分理解した筈でした。
その後、乳がんについていろいろ勉強しました。
そして、半年後、そのチェックリストを見直してみると
随分、いろいろな事を、誤解していました。
都合の良いように解釈していた事や
とても心配しすぎていた事があることがわかったのです。
今でも時々、そのチェックリストを見直すことがありますが
つくづく、病を正しくするのは難しいものだなと思っています。

患者が治療を選ぶ時には
正しい知識と同時に
常に、自分が選択した治療を見直す事も必要かなと思っています。
時間が経てば、その人の置かれている状況や環境や
体調や病にも変化が出てきます。
また、新たな治療法や薬が出てきているかもしれません。
一度決めた治療法でも
主治医や医療者と相談しながら
常にその見直しをすることが大切ではないかと思います。

そして、何よりあってほしいのは
このような難しい選択を迫られる患者へのサポート体制です。
時には、自分の人生観から見つめ直す事も必要なこともあります。
そのサポートには、医療関係者のみならず
あらゆる分野からのサポートが必要なのです。

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