11月14日、東京ウィメンズプラザで「もっと知ってほしい乳がんのこと」が開催されました。
その中から、ちょっとご紹介です。
ハーセプチンという分子標的薬は
HER2陽性の乳がんにとても効果があります。
この薬が開発されるまでは
HER2陽性の乳がん患者の生存期間は思わしくありませんでした。で
も、この薬が出来てからは
なんと他のタイプの乳がん患者よりも生命予後が良い
というデータもあるそうです。
でも、HER2陽性患者さんのすべてに
このような効果があるわけではないことも事実です。
そこで、T-DM1という新たな抗がん剤に期待が集まっているようです。
このように次から次へ新たな薬が開発されていますが
例えば、稀少なタイプ、例えば全患者の3%しかいないタイプのための
新薬を開発するのだろうかという不安があるようです。
次は、温存術についてのお話。
温存術も数よりも質の時代に入ったようです。
質とは、すなわち整容性の問題です。
整容性を考えて
温存よりも再建を選ぶ患者さんもいらっしゃるようですが
聖路加国際病院乳腺外科の山内英子先生の次の言葉が
とても印象に残りました。
「術後、フラットになった胸を患者が目にした時の精神的負担が大きい」
温存術も発達し、美しい温存も可能になってきているとか。
そして、山内先生は、次のようにおっしゃいました。
温存・切除・再建
様々な選択肢があるが、自分の選択をすることが大切
何が一番よいのかは、その人でないと決められない。
多くの選択肢からどれを選択するかを、患者と医師が一緒に悩み、決めていくことが大切。
そして、自分の決めた治療法に、自信を持ち、誇りを持ってほしい。
わぉ!
医療者は、病の事しかわからない。
患者が、自分の事を語ることから、NBMが始まる。
診察室で、悩みながらも
自分の今までの人生、これからの人生を医療者に語り
共に悩むことで、その後の物語を作っていく。
これぞNBM(Narrative-BasedMedicine)!
素敵なお話ですね。
でもねぇ
日本全国、どこの診察室でも
このような物語が始まるわけではない現実もありますよね。
そして、術前ホルモン療法のお話。
ホルモンレセプター陽性の人で
ホルモン療法が効かない人がいるらしいのです。
それを調べるために、手術前に3~6ヶ月
ホルモン療法を行うというものです。
この術前ホルモン療法については
現ガイドラインでは強く勧められているわけではなく
現在は、臨床試験段階です。
しかし、5年も飲む薬の効果のあるなしは
無視できない問題であるとも言える
というお話でした。
ところで、乳がん患者は他のがん種に比べ
不安が高い傾向にあるとか……。
そして、その不安への早期介入(緩和治療やカウンセリング)は
生命予後にも影響するのだそうです。
なるほど、このあたりに
乳がんの患者会などが多い理由がありそうですね。
そして、乳がん患者会が姦しいのも
不安があるからこそ
その不安を吐き出すためにいっぱい喋り
吐き出した不安の分だけ
元気になるのかもしれませんね。
「もっと知ってほしい乳がんのこと2010」は
まもなく、キャンサーネットジャパンのホームページ上で
公開されます。
お楽しみに!
2010年11月16日火曜日
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